2018 Fiscal Year Research-status Report
習得過程に着目した文法理論による意味的弱動詞の特性の説明
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16K02757
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
鈴木 猛 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00187741)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | path preposition / particle / resultative / satellite-/verb-framed / Talmy's typology / developmental / semantically light verb |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究でわかってきた点を6つ上げる。1.PathPPは、獲得最初期から動詞なしで頻出し、述語として位置変化を表す。関連発話の大半は物を移動させてという依頼で、使役が潜在する。動詞は後から現れ、意味的弱動詞put, take, turn等から始まるが、位置変化の意味には貢献しない。2.獲得初期のPathPの大多数がtelicである(in, on, offなど)。atelicのaround, alongなどは多くなく、現れる場合も(単独)述語としてではなく、動詞と共起して副詞的に使われる。3.動詞の出現は、潜在的使役の意味を形式化する発達ステップが一因と考えられる。続いて様態動詞が増え(pull it away, throw it down, wipe it off, rub it out)、さらに、need, wantが現れる。Pが動詞と複合述語を構成するとは考えにくく、Pが一人前の述語でないと成立しない例である。4.light v+PathPPの獲得過程は、Levin and Rapoport (1988)のLexical SubordinationとTalmy (1985他)のsatellite-framing of Pathを説明する可能性がある(Suzuki 2017)。5.日本語の場所・経路は獲得最初期から動詞で表されることを確認(Suzuki 2004)。はじめに動詞が経路を表す述語として設定されるとそのままverb-framed languageとなると考えられる。6.関連するV-Prt-DP (句動詞構文) について。(i)獲得初期にはほとんど現れない。(ii)この構文にはV-DP-Prtに頻出する動詞take, put, pull, turnがほとんど現れない。獲得初期の段階では2つの構文は意外なほど異なる特徴を持ち、別々の出現理由を持つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
次の理由により計画以上のペースで計画通りかつそれ以上に進展している。 (i)データの検索・整理・構築が順調に進んだ。 (ii)理論的予測がほぼそのままデータの分布と一致した。 (iii)予測以外の理論的に重要な一般化が見えてきた。 (iv)学会発表(招聘・シンポジウムを含む)を前年度までにすでに2回行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次のような今後の推進方策を考えている。 (i)ここまでPathPPを中心に見てきたが、動詞にフォーカスすると自ずと意味的弱動詞の出自が見えてくることを研究実績の1つとして加えたい。動詞と(二次述語としての)PathP間の意味のtrading relationが意味的弱動詞を生じさせるかどうかを決定する(一因である)。英語においては意味的主要部は発達最初期からPathPなので後から追加される動詞はいわば添え物で意味的弱動詞が自然に生じる。一方、日本語では動詞がはじめから意味的主要部なので意味的弱動詞は生じない。 (ii)動詞が入ってくる時期に機能範疇も出現するという相関関係がありそうだが、理論的な考察をしたい。 (iii)可能であれば、英語以外の言語におけるPathPPの特性とその獲得過程との相関関係を吟味したい。より詳細な日本語獲得データの調査に加え、フランス語はPathに関して英語よりも日本語とtypologicalに似た特徴を持つ、すなわちverb-framingであるとされているので、同語におけるPathPPの獲得過程の特徴とverb-framingとの相関関係を研究したい。
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Causes of Carryover |
今年度多少の残額が生じたが、ほぼ計画の範囲内。次年度使用額(15,583円)は物品費として使用予定。
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Research Products
(1 results)