2016 Fiscal Year Research-status Report
コミュニケーション活動と一体化した新たな文法指導方法の提案
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16K02834
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
永井 典子 茨城大学, 人文学部, 教授 (60261723)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 英語文法 / English Profile |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、まず、中・高等学校の英語の指導要領、及び中・高校学校で使用されている検定英語教科書を調査し、中等教育で教えられている文法項目を特定した。これらの文法項目を、Hawkins &Filipovic (2012)によるCriterial Features in L2 Englishで示されたCEFRの6段階の熟達段階別の文法特性と、Julia Harrison(2015) のEnglish Grammar Profileなどを参考に、比較対照し、本研究が対象とする文法項目を特定した。さらに、これらの文法項目を理論言語学の知見を基に、主に次の2つの範疇、①語彙学習によって習得されるべき項目、例えば、文の基本構造と、②文法規則の習得、例えば受動態の形成に大別した。 次に、これらの研究対象とする文法項目のうち、日本語母語話者が特に注意すべき項目を特定するために参考となる、言語間の影響に関する研究成果を調査した。Kellerman (1977)は、母語が第二言語の習得に及ぼす影響は、ただ単に両言語の言語的客観的差異によるのではなく、学習者がその差異をどうとらえるのか、つまり主観的類似/差異性の問題であると主張している点に着目し、さらに、主観的類似/差異性に関する研究、Jarvis (1998)、Jarvis & Pavlenko (2012)、 Ringbom (2007)などの研究を精査した。その結果、Jarvis (1998)やRingbom (2007)による、主観的類似/差異性の更なる区分、perceived similarities/differencesと assumed similarities /differencesの区分が日本語母語話者の英語文法習得の困難さを特定する上で、重要な区分であることを認識した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に予定していた以下の3つの研究をほぼ予定通り終えることができたため。 1.中等教育で教えられている文法項目を特定し、それらをCEFRの6段階からなる熟達度別の文法特性と比較対照し、本研究が対象とする文法項目の特定。 2.これらの文法項目の言語学的見地からの分類。 3.日本語を母語とする英語学習者にとって、これらの文法項目の習得困難さの予測に必要な先行研究の精査。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降は次のことを行う。 1.言語間の影響、及び言語習得における個人差に関する研究成果をもとに、本研究が対象としている文法項目について、日本語を母語とする英語学習者が遭遇する困難さを考察・予測する。と言うのは、英語と日本語の言語的差異が原因で習得が困難になるとするKellerman(1977)以前の比較分析(Contrastive analysis)は、英語習得における日本語母語話者の習得困難さを予測する出発点にはなるが、実際に学習者にとって、それらの習得が困難になるかどうかは、学習者が二言語間の言語的類似性と差異性をどう認識するかに依っているからである。この点をさらに深く考えるために、母語と目標言語が体系的に異なる言語における第二言語の習得研究を精査する。 2.平成28年度に特定した文法項目の主な機能を特定する。さらに、これらの文法項目の語彙的側面、統語的側面・語用論的側面について考え、この3つの側面の関係を明確にする。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、予定していた専門家との打ち合わせが、国内のみとなり、旅費として当初予定していた予算を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に使用しなかった予算額は、平成29年度及び30年度での成果発表、特に平成30年度に行う予定のヨーロッパでの国際学会での発表に使用する予定。
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