2016 Fiscal Year Research-status Report
アラビア語の会話体と文章体の統合的使用語彙調査と学習者用語彙目録作成
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16K02877
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
長渡 陽一 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (90757519)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ダイグロシア / アラビア語 / 統合アプローチ / 語彙目録 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、会話体と文語体の二層状態(ダイグロシア)にあるアラビア語について、従来のような各層別々ではなく、エジプトの日常生活で使用されている語彙を統合的に調査し、アラビア語学習者に提供することを目的とする。これは、アラビア語教育で提唱されている統合アプローチと軌を一にする視点である。 28年度(2016年度)には、映画2編、『テロリズムとケバブ』、『ハッサンとマルコス』のシナリオデータの単語にタグ付けを進めた。ただし、意味のタグは完成していない。資料については、アラビア語のダイグロシアを扱った研究文献や、アラビア語教育統合的アプローチに関わる資料や教材を収集した。また翌年度(29年度)に予定していた、文語体コーパス『星の王子さま』のタグ付けをすでに開始し、会話体コーパス『結婚したい』(エッセイ)の文字データ化をすでに済ませた。 統語に関する研究として、上記シナリオ2編の中でエジプト会話体の疑問詞疑問文を観察し、エジプト会話体の疑問詞位置を実証的に明らかにし、成果を日本言語学会にて発表した。またアラビア語教育の分野で、会話体と文語体を同時に提示する統合的アプローチに対する学習者反応を、アンケート調査の観察結果として外国語教育学会にて発表した。これは、教師側が統合的アプローチを躊躇する理由である「学習者が混乱するのではないか」という予測に対する初めての具体的な分析である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コーパスのタグ付けのうち、意味の記述に予想よりも時間がかかっている。最終的に学習者用として提示するために、意味記述をできるだけ少なく簡潔に、しかも汎用性のある記述を目指すためである。 諸所の事情により、現地に赴いてのアナウンスや広告などの収集を行わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コーパスの単語タグ付けの意味記述を協力者に依頼し、研究代表者がチェックする形で進めることとする。その他は、29年度(2017年度)に遂行予定の、『星の王子さま』(文語体)、『結婚したい』(会話体)のコーパスのタグ付けを完成させ、以上を基盤とした語彙目録を完成させる。 またエジプト会話体の疑問詞位置に関する研究成果を論文として公表したい。
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Causes of Carryover |
言語資料分析の作業に想定よりも時間がかかり、新たな資料収集のための現地訪問が行えなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たな言語資料収集のための現地訪問を次年度に行うこととする。また言語資料分析・タグ付け作業に想定よりも時間がかかるため、協力者への謝金として使用する。
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