2016 Fiscal Year Research-status Report
Self-Learning Surface for Learning Kanji
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16K02892
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
小林 孝郎 拓殖大学, 外国語学部, 教授 (60328010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
チェリー ドナルド 広島国際大学, 心理科学部, 准教授 (40412340)
PEYRON Bruno 上智大学, 文学部, 准教授 (50296901)
Frederic Andres 国立情報学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90332155)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本語教育 / 漢字字形認識 / Anytime Anywhere CALL / 反転授業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題“Self-Learning Surface for Learning Kanji”は、これまでの二期にわたる科研研究の成果を、非漢字圏日本語学習者の漢字学習に応用しようとするものである。非漢字圏日本語学習者の漢字学習の困難さについては数多くの先行研究が存在するが、本研究の理論的立場は、漢字の「字形特性」に対する非漢字圏日本語学習者の困難点に着目した研究成果を土台とするものである。 また、本研究の目標は、第二言語の習得過程に関与する要素を「行動中心の考え方」という理念に基づき統合することであった。そのため、学習者が自律的に自己の課題を発見し、検証し、解決していくことの重要性に着目し、学習要素を網羅したストレスフリーでトータルな字形認識プログラムを配したアプリケーションの開発を課題としてきた。 本研究初年(2016)度の計画では、字形認識プログラムの基となる字形認識のシステム化が課題であったが、「非漢字圏日本語学習者のための字形学習法」(TAHA:2015)で提示された、漢字字形のアルファベットによる「6つの基本形コード」と数字による「組み合わせコード」を字形認識システムの基本に据えることとし、基本形コードの変更などによって改良を進めた。なお、このシステムは、日本語能力試験(JLPT)の旧「2級(旧出題基準)」をカバーできることが検証されている。 一方、字形認識プログラムアプリケーションの土台となるデータベースの構築では、「旧2級」の範疇でデータベース化が終了し、システム編成作業の細部の検討段階に入っている。学習プロセスにそって、非漢字圏日本語学習者を想定した「PRE-テスト」から「基本形」の習得を経て単漢字・複合漢字の組み合わせコードへと進み、1000漢字の習得をゴールとして、より効果的な練習方法の導入などに注力しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の当初の計画では、初年度(平成28年度)において、1)既存の字形分析研究を踏まえた新たな字形認識トレーニングの編成、2)字形認識用データベースの構築、3)システム編成作業、4)非漢字圏出身日本語学習者による試行テストまでを課題としていた。 現在までの進捗状況は、1)の字形認識トレーニング編成作業を経て、2)字形認識用データベースの構築を終え、3)のシステム編成作業の着手したところである。 若干の遅滞をもたらしている理由は、編成作業過程で、学習者にとって親和的なトレーニングを導入するためには、学習段階に相応した視覚的な表象を取り入れることが効果的であることが明らかになり、そのための漢字要素の再検討を進めているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、「字形認識用データベースの検証とシステム編成作業の効率的進行」、「試行テストとシステムの見直しと動作環境の充実」、「再試行期間を設け、学習者・教員双方からのアプリケーション評価を受けて、フィードバック作業に進む」ことを課題として、研究の前進を図りたい。
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Causes of Carryover |
初年度に支出予定であった漢字学習プログラムのソフトウェア化に伴う支出が生じなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
構造分析作業の継続及びデータベースの最適化とソフトウェア制作に伴う支出を予定している。
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