2017 Fiscal Year Research-status Report
英語コミュニケーションにおける統語的プライミングを利用した統語処理の自動化促進
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16K02946
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
森下 美和 神戸学院大学, グローバル・コミュニケーション学部, 准教授 (90512286)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 統語的プライミング / インタラクション / wh疑問文 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、2016年度に実施したパイロット調査の結果を踏まえて、インタラクションにおけるプライミングの観点から本調査(調査1)を行った。 パイロット調査では、日本人英語学習者(大学生)5名を対象とし、研究代表者とのダイアローグの中で質問と応答を繰り返しながら、彼らのwh疑問文の産出傾向を観察した。本調査では、インストラクションの内容や質問(プライム文)およびその提示の仕方などを適宜修正したうえで、英語母語話者(英国人留学生)と日本人英語学習者(大学生)31名の間のダイアローグ(約20分間)において、wh疑問文の産出傾向ならびに統語的プライミング効果について調査した。 会話データの一部について書きおこしをもとに分析を試みたところ、日本人英語学習者の特徴として、1)"Do you have a question for me?" などのように、質問を促さないと主体的に質問することができない、2)wh疑問文の産出が的確に行えない、3)プライミング効果が直後ではなく、多くのturnを挟んで見られる場合があるなどの傾向が見られた。また、全体として、日本人英語学習者よりも母語話者のほうにプライミング効果が目立った。この会話データをさらに詳しく分析することにより、インタラクション(ダイアローグ)において、プライミング効果がいかに生じ、促進されるのかについて考察中である。 本研究課題に関連する研究については、国内で3件、海外で4件の口頭発表を行い、年度内に3件の学術論文が発行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年度には、主に、本研究課題に関連する2015年度までの研究についての口頭発表・論文執筆および調査1(日本人英語学習者と英語母語話者間の自然なダイアローグにおけるプライミング効果についての調査)に先立つパイロット調査を行ったため、調査1については2017年度に本調査を行うことになった。そのため、当初2017年度に行う予定であった調査2(スクリプト付きインタラクションタスクを用いた統語的プライミング実験)については、2018年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度には、2017年度に実施予定であった調査2と当初から予定していた調査3を実施する予定である。調査2については、統語的プライミング実験(スクリプト付きインタラクションタスク)における英語母語話者とのインタラクションの中で、日本人英語学習者の疑問文におけるプライミング効果について調査する。調査3については、教室でのコミュニケーション活動における日本人英語学習者同士の統制された対話練習の中で,調査2で使用した実験素材をタスクとして利用する。質問(疑問文)と応答に焦点を当て、正しい用法やより複雑な用法を習得していく過程を観察する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)データ分析に関しては、作業中のため、2017年度に支払いが発生しなかった。また、本研究課題に関連する国際学会参加のための出張旅費の一部を、所属大学の「特別海外研究員」制度で賄い、不足分については個人研究費から支出したため。
(使用計画)国内外の学会参加、および打合せのための出張旅費、謝金など。
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Research Products
(12 results)