2016 Fiscal Year Research-status Report
医学部低中学年を対象とした英語医療面接指導のための評価ルーブリックの開発
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16K02988
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
山森 孝彦 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70387819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久留 友紀子 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (00465543)
Slater Kenneth 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10728778) [Withdrawn]
宮本 淳 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (40340301)
押味 貴之 国際医療福祉大学, 医学部, 准教授 (60526177)
JEGO Hajime 日本大学, 医学部, 助教 (80570944)
安田 宗義 愛知医科大学, 公私立大学の部局等, 客員研究員 (10440752)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医療面接 / ルーブリック / EMP(医療のための英語) / 英語コミュニケーション / プロフェッショナルコミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
医療面接には医学知識や臨床的推論能力が必要なため,日本語での医療面接の指導が実施されるのは,医学部4年生以降であることが多い。もし英語医療面接においても医学知識を前提とする練習をしようとすると,それまで待たなければならないが,高学年のカリキュラムの中に英語医療面接の指導に必要な時間を確保するのは難しい。 その一方で医療面接には,マナー,視線,声量,姿勢,医師としての心構えなど,医学部低学年から指導できることが多くあることも指摘されている。英語医療面接においても低学年から指導できることは多く,医師としてのプロフェッショナルなコミュニケーション能力と,英語コミュニケーション能力に焦点をあてて先行して指導を行うことで,学習者の負担を分散させることもできる。 こうした医学部低中学年向けの英語医療面接の指導のために,必要となるものにルーブリックがある。ルーブリックとは評価の基準を規定した評価ガイドラインのことであり,医療面接のように学習者が実際にパフォーマンスを行う場合,有効で首尾一貫した公平な評価をするために不可欠なツールである。ルーブリックは同時に,学習者に到達目標を明示するという教育上非常に重要な役割を果たす。しかし医療面接のルーブリックは,米国のUSMLE STEP2 CSや日本の客観的臨床能力試験(OSCE)など第1言語での評価基準はあるが,第2言語のものは確立されていない。 本研究では,医学部低中学年に適した英語医療面接指導を促進するために,評価ルーブリックを原案作成・検証・改善する作業を通して,医師としてのプロフェッショナルなコミュニケーション能力および英語コミュニケーション能力を焦点とした英語医療面接ルーブリックを作成する。ルーブリックでは,それぞれの能力に含まれる具体的なスキル,及びそれに対する到達すべきレベルを具体的に観察できる形で記述する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的な研究方法としては,医学部低中学年に対して英語医療面接指導を行っている英語キャンプにおいて,模擬患者を相手にした実際の医療面接の様子を録画し,本研究グループによってルーブリック原案に従って評価をする。(データ収集・分析等に関する本人の許可を書面で得て行い,収集したデータも厳格に管理して分析処理を行っている)評価者からコメントを得て質的データとし,量的データと合わせて分析,その結果および文献研究から得た知見に基づいてルーブリックの作成と作業を行っている。 28年度は評価対象となる複数の動画に対して,複数の評価者が独立して評価を行い,評価と同時に,評価を行いやすかった点,難しかった点,問題となる点などについてフィードバックを行った。まずは量的データである評価結果の分析を行った。また、質的データとなるフィードバックコメントの分析を開始した。並行して,コミュニケーション,医療面接などに関する文献研究を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在開発中のルーブリックは前述のUSMLEのSTEP2 CSの評価項目であるCommunication and Interpersonal Skills (CIS)や Spoken English Proficiency (SEP)等を土台にして日本の医学部低中学年の学生に合うように作成作業が進められている。医学知識がまだ少ない低中学年ではありながら,医療人としてどのようにして患者と英語でコミュニケーションをとっていくことがふさわしいか,そして英語医療面接の評価尺度として具体的なスキルを設定していくことができるかが研究の焦点となってきている。特に共感の度合いを観察可能な形で測定する評価尺度について現在研究が進められている。28年度は量的なデータの分析に重きをおいていたが,29年度は,質的なデータであるフィードバックコメントをどのように理論化し統合して評価項目や評定尺度に反映していくかに重きをおいて作成作業を進めていくつもりである。
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Causes of Carryover |
28年度は医療面接の部屋数が予定していただけ確保できなかったため、撮影用ビデオを当面に必要な5台だけ購入した。また学会が開催された会場が東京であり、東京在住の研究分担者の旅費が少額で済んだこと、また研究会が予定回数より少なかったことがあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度には新規格で新機能のビデオカメラを追加で購入する予定である。29年度は海外での学会参加も予定されており、そこで旅費を増額して支出する予定である。
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