2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03050
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福留 真紀 長崎大学, 教育学部, 准教授 (60549517)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本史 / 徳川幕府 / 将軍側近 / 幕府官僚 / 水野忠友 / 水野忠成 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、江戸時代後期の将軍側近と幕府官僚の関係を分析するため、各地で幕府・老中・大名・将軍側近関係史料の調査を行った。 まず、幕府および老中関係史料については、首都大学東京図書情報センター(東京都)において、当該期の「老中借写日記」の調査をおこなった。また、当初の計画にはなかったものの、真田宝物館(長野県)・豊橋市美術博物館(愛知県)にも、それぞれ本研究に必要な老中日記が所蔵されていることがわかり、予備調査を行った。 大名家史料については、前橋市立図書館(群馬県)・姫路市立城郭研究室(兵庫県)において、酒井雅楽頭家関係史料の予備調査を行った。将軍側近関係史料については、沼津市明治史料館(静岡県)・九重みりん時代館(愛知県)において、水野家関係史料の予備調査を行った。 それら調査史料の分析をはじめながら、併せて将軍側近関係史料の「水野家記録」(早稲田大学図書館所蔵)、「水野忠友側日記」「水野忠成側日記」(東京大学史料編纂所所蔵)の研究を進めた。 加えて、「よしの冊子」(水野為永著・森銑三ほか編『随筆百花苑』8・9巻、中央公論社、1980・81年)、「宇下人言」(松平定信著・松平定光校訂『宇下人言・修行録』岩波書店、1942年)、「公徳弁」(塩谷宕蔭著・北島正元校訂『丕揚録・公徳弁・藩秘録』近藤出版社、1971年)の分析も進め、江戸時代後期の側近と幕府官僚の関係について、著書の執筆を始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初の計画では、東京大学史料編纂所、早稲田大学、首都大学東京情報センター、国立公文書館、東京国立博物館といった、東京中心の史料調査を行う計画を立てていた。しかし、研究を進めて行くに連れ、平成30年以降に予定していた、姫路市立城郭研究室での酒井家関連史料の調査を前倒しにした方が適切となり、他にも新たな史料所蔵先も見つけることができたため、広範囲での調査を行うこととなった。 そのため、当初の計画とは異なる点があったものの、著書の執筆のための準備が、かなり整えられたため、1年目としては、充実した成果が上げられたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の内容に関わる点については、大きく変更することはない。 しかし、平成29年度から、所属研究機関が変わり、所在地が東京になったことから、当初の計画に複数含まれていた「東京出張」の必要性がなくなった。しかし、1年目に新たな史料所蔵先が複数見つかり、今後も続けて調査を進める必要があるため、東京出張と計画していた部分は、それらの史料所蔵先の出張調査に代替することにより、充実した研究が進められると考えている。 今後も、学会・研究会報告、市民向け講演会、書籍の執筆など、活発に研究成果を公表していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度の研究費が生じたのは、1月から3月の間に、当初予定していた2回の東京出張が実施できなかったことが、原因である。また、史料調査先の変更や、それにともなう史料の調査方法の違いにより、必要経費が異なったことも影響している。 ただ、当初の方針でも、限られた時間の中で、多数の史料調査を行う関係で、調査の順番は臨機応変に対応することとしており、想定の範囲内の変更と言える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、調査の精度を上げるため、予備調査、本調査の2段階を踏み、出来る限り、1つの所蔵先で2回以上の調査を行う、という考え方から、前年度からの調査を継続して、各地の大名家史料・幕府関係史料の調査・分析を行っていきたい。 先に記したように、所属研究機関の所在地が東京になったことで、必要が無くなった東京出張分の予算については、それらの調査が行われるため、予定経費には当初の計画との大きな齟齬は生じないと考えられる。また、年度の後半では、学習院大学で開催予定の幕藩研究会で中間報告を行う予定である。
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