2022 Fiscal Year Annual Research Report
Value-conservative currents in the German Green Party during its formative years: From a comparative Japanese-German civil society historical perspective
Project/Area Number |
16K03105
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
中田 潤 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (40332548)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 価値保守主義 / 新しい社会運動 / エコロジー / 緑の党 / 左派オルタナティブ / 市民社会 / ドイツ / 協同主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の最終年度である2022年度は,これまでの研究成果をまとめ,中田 潤『ドイツ緑の党の現代史 1970年代から再統一まで 価値保守主義・左派オルタナティブと協同主義的市民社会』(吉田書店)として2023年5月に刊行することになっている.本研究課題の最終成果である上記の著作では,1970年代後半から1990年のドイツの再統一の時期までの「緑の運動」を分析対象とした.その中で1970年代後半から興隆してきた「運動」と1970年代末から始まる「制度化(=政党化)」という2つの潮流の相互の影響について実証的に解明した.また緑の党という制度化の動きの中で,「保守革命」「農業ロマン主義」「価値保守主義」「人智学」「エコロジー社会主義」「(非)教条主義的新左翼」といった,一部は19世紀にまで遡ることが可能な思想潮流がその中に流入していった事実も指摘した.それまで対極に位置すると見なされていたそれぞれの思想が前提とする社会観・社会秩序観の相違を主たる原因として,再統一までの時期の緑の党は,深刻な内部対立に苦しんでいた. こうした緑の運動および形成期の緑の党の活動を分析した結果,左派オルタナティブと呼ばれる人々の(政治)活動およびその背景にある思想が,その方向性を規定していく上で大きな役割を果たしていたことが明らかになった.そこで今後の研究を展開する上で,左派オルタナティブと呼ばれる人々について,その思想面,活動の目標や実態,担い手たちの社会構成等に関して分析していくことが重要であると考えている.
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