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2016 Fiscal Year Research-status Report

クルトゥラの挑戦――20世紀後半の在外ポーランド・メディアの歴史的意義

Research Project

Project/Area Number 16K03111
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

小山 哲  京都大学, 文学研究科, 教授 (80215425)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywordsポーランド / 文学研究所 / Instytut Literacki / 『クルトゥラ』 / Kultura / ギェドロイツ / Jerzy Giedroyc
Outline of Annual Research Achievements

今年度は本研究の初年度にあたるため、今後の研究調査に不可欠な基礎的な文献の収集、『クルトゥラ』にかんする従来の研究史と現在の研究状況の把握、および、史料の所蔵状況を確認するための準備的な現地調査を目標として研究を進めた。現地調査の一環として、2017年3月13・14両日に『クルトゥラ』の発行元であった文学研究所(パリ北西郊外メゾン・ラフィット)を訪問し、資料の調査を行なった。また、3月16・17両日に、ワルシャワ国立図書館において、関連する研究文献の調査を行なった。本年度の発表論文とリトアニア歴史研究所における報告は上記の調査に先立って行われたもので、いずれも本研究の課題にアプローチするための前提となる歴史認識上の枠組みにかかわるものである。現在、上記の調査をふまえて『クルトゥラ』にかんする史料状況と研究状況を概観する研究動向論文を現在準備中であり、2017年度中に学術雑誌への投稿を予定している。
上記の調査の予期せぬ副産物として、文学研究所所長ヴォイチェフ・シコラ氏より、ヤヌシュ・モンドリィという名前の日本の商社の社員が『クルトゥラ』に日本関連の記事を寄稿しており、編集長ギェドロイツと交わした往復書簡が残存しているとの教示をえた。今回の調査中に、1981年から2000年にかけて両者間で交わされた書簡を閲覧した。この往復書簡については、本研究の計画時点では存在を認識しておらず、したがって当初作成した研究計画では、この史料の調査・分析は課題に含まれていない。しかし、今回の調査から、モンドリィ関連資料が、「連帯」活動期からポスト社会主義期にいたる時期の日本と文学研究所との関係史にかかわる貴重な史料群であることが明らかとなった。この点を考慮して、今後、書簡の情報を整理する作業を本研究の枠内に組み込み、ポーランド語原文と日本語対訳・注釈を付した資料集を編纂することを予定している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度の当初の研究計画に盛り込んだ課題のうち、基礎的な文献の収集と、研究状況の調査については、予定どおり進んでいる。また、史料状況の把握のための予備的な調査については、2017年3月にパリの文学研究所を訪問し、文書庫を管理する現地の所員の協力のもとに、『クルトゥラ』の関連資料の種類、分類の方法、保管の状態等について実地にレクチャーを受けることができた。史料の保管状況と閲覧可能な範囲を確認することができたので、今回得られた情報をふまえて、先行研究の内容を把握したうえで、具体的な資料調査計画をたてることが可能となった。本年度の調査でえられた見とおしにもとづいて、次年度以降の現地調査の機会を利用して、1950年代~60年代の『クルトゥラ』の編集にかかわる未公刊史料の本格的な調査作業に着手する予定である。
「研究実績の概要」欄にも記載したように、文学研究所における今回の調査の過程で、当初の研究計画では想定していなかった日本との関係にかかわる資料群(主として書簡)が存在することが判明した。現在、この資料群の整理と内容の検討を並行して進めている。作業量が倍増したため、当初の計画に沿った研究の進度にマイナスの影響がでているが、日本側とポーランド側の情報や文献の照合は、言語的な条件などから、本研究代表者にしかできない作業であり、また、内容的にもこの資料群の全容を早期に明らかにすることは日本とポーランドの学術界にとって有意義であると考えられることから、当面はやむを得ないと判断している。

Strategy for Future Research Activity

本年度の調査によって、研究状況の概略を把握し、また、文学研究所における史料の保管状況と閲覧可能な範囲を確認することができたことをふまえて、今後は、先行研究の内容を批判的に検討したうえで、具体的な資料の調査計画をたて、現地調査の機会を利用して、1950年代~60年代の『クルトゥラ』の編集にかかわる未公刊史料の本格的な調査作業に着手したい。次年度の後半までに研究動向をまとめた論考を執筆し、学術雑誌に投稿する予定である。
並行して、文学研究所における今回の調査の過程で存在を確認した日本との関係にかかわる資料群(ヤヌシュ・モンドリィと編集長ギェドロイツとの往復書簡)の整理と内容の検討を進める。書簡のポーランド語原文のテキストを確定したうえで、日本語に翻訳し、必要な注解を付す作業に着手したい。

  • Research Products

    (4 results)

All 2016

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] 17世紀危機論争と日本の「西洋史学」2016

    • Author(s)
      小山 哲
    • Journal Title

      『西洋史学』

      Volume: 260 Pages: 84-96

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 複合国家のメインテナンス――17世紀のリトアニア貴族の日記にみるポーランド=リトアニア合同2016

    • Author(s)
      小山 哲
    • Journal Title

      古谷大輔・近藤和彦編『礫岩のようなヨーロッパ』山川出版社

      Volume: - Pages: 272-191

  • [Journal Article] 「史学史」の線を引き直す――ヒストリオグラフィにおける「近代」をどう捉えるか2016

    • Author(s)
      小山 哲
    • Journal Title

      『史苑』

      Volume: 77-1 Pages: 96-107

  • [Presentation] The multi-confessional Commonwealth: a reconsideration on the coexistence of different religious groups in the Early Modern Poland-Lithuania2016

    • Author(s)
      Satoshi Koyama
    • Organizer
      Summer International Symposium 2016 in Vilnius “Entangled interactions between religions and national identities in the space of the former Polish-Lithuanian Commonwealth”
    • Place of Presentation
      Lithuanian Institute of History, Vilnius (Lithuania)
    • Year and Date
      2016-08-22
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-01-16  

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