2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Anabaptists and European Popular Religion in the Early Modern Period: From Switzerland to America
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16K03132
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
踊 共二 武蔵大学, 人文学部, 教授 (20201999)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再洗礼派 / メノナイト / アーミッシュ / 宗教改革 / スイス / アルプス / アメリカ / 潜伏キリスト教徒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は17世紀後半以降に北米に渡ったスイス・アルプス地域の宗教的マイノリティである再洗礼派(メノナイトとアーミッシュ)の移動と定住の歴史を追い、彼らがいかなる性質の宗教・文化・習俗を北米にもたらしたかを解明する試みであるが、最終年度である2019年度はこれまでにドイツ・スイス・アメリカ(とくに東部・中西部のメノナイト・アーミッシュ集住地)で収集した一次史料および新旧の研究文献の精読と分析を行い、海外の研究者との電子メールによる意見交換を行いながら、アメリカの再洗礼派の奇跡信仰、天使信仰、殉教者伝説、心霊現象を伝える怪奇譚、魔術的要素を残す民間医療(パウワウ治療)、多種多様な呪文(魔除け、泥棒退治、火消しなど)、護符(家の祝福や天国からの手紙など)の伝統、古色蒼然とした音楽文化(古い聖歌や俗謡をルーツとする讃美歌)、装飾を伴う文字文化(フラクトゥアと呼ばれるドイツ語のカリグラフィー)などについて、現代(21世紀)から過去に遡る方法で研究し、18世紀、17世紀、そして16世紀のヨーロッパの歴史的再洗礼派運動との強い連続性を明らかにした(もちろんそれは近世ヨーロッパの基層文化と結びついている)。その研究成果は口頭発表および論文の形で公表した。日本の潜伏キリスト教徒(かくれキリシタン)との比較を試みる英語論文も公表した(海外出版物)。また北ドイツ、オランダの近世宗教史・社会史に詳しい研究者を招いて「預言」と「奇跡」をテーマとする研究会を実施し、本研究がヨーロッパ近世史研究全体に与えうるインパクトを確認した。具体的には、ルネサンス・宗教改革以後のヨーロッパ・アメリカにおいては「世俗化」「脱魔術化」「合理化」が不可逆的に進んでいるという歴史認識(とりわけМ・ヴェーバーやE・トレルチの近代論を下敷きにした歴史学や社会学の視点)を批判的に再検討するための実証的データ(事例)の提供である。
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Remarks |
Tomoji Odori,Discussant Comment on the Lectures by Arno Strohmeyer et al., International Symposium: Religion and Violence in Medieval and Early Modern Europe at Waseda University, 10 November 2019.
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Research Products
(3 results)