2021 Fiscal Year Research-status Report
漁場図・地誌書等にみる地域の海洋資源利用の過去と現在
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16K03186
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
橋村 修 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00414037)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地誌 / 史料 / 疫病 / 漁業 / 回遊魚 / 魚名 / 漂流 / 無人島 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①これまで調査収集した史料の翻刻紹介、②近世期の沿岸部の疫病対応と無人島利用の研究、③東北三陸地方の回遊魚利用の日本列島の中で位置づける研究、④柳田国男の『海上の道』の研究を回遊魚利用の視点から再考する研究を進めた。 ①については、原口虎雄教授が調査筆写した薩摩藩関係史料のうち大隅高山郷の水産史料の翻刻をおこない、「薩摩藩領大隅・高山郷の近世末期漁業関係史料」『東京学芸大学紀要 人文社会科学系Ⅱ』73として報告した。また、薩摩川辺郡久志秋目郷のの久志地区関係の近世漁業史料の翻刻も進めた。 ②については、4月に招待講演をおこない、その内容を「江戸時代の漂流者対応と無人島利用にみる疫病の水際対策」『Ocean Newsletter』507として報告した。さらに、国際学会(2021年日韓共同学術会議 自然・災害・感染症と民俗)でも報告した。 ③については、東北で獲れたシイラやサメが他地域にどのように流通しているのか、栃木県を中心に検討し、またシイラの地方名について渋沢敬三『日本魚名集覧』が典拠とした文献を点検し、江戸時代から現代にいたるまでの魚名地域分布表を作成した。その内容は生き物文化誌学会学術誌に「三陸と日本各地をつなぐ魚の利用-シイラを中心に」『ビオストーリー』35に掲載されている。 ④については8月に開催された「第42回山桃忌 シンポジウム「柳田國男と「海上の道」」でパネリスト報告をおこない、海上の道とシイラ利用をめぐる世界各地の文化との関わりを論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ蔓延の状況が続いているため、当初予定している沖縄調査に出られなかったが、これまでの調査で得られた知見に基づき研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までおこなうことができなかった調査(沖縄県宮古島、伊良部島)をおこない、そこで得られた知見も踏まえながら、本研究のまとめをおこなう。コロナの状況を踏まえ、予定している調査研究を進められない可能性もある。
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Causes of Carryover |
コロナ蔓延にともない予定していた現地調査(現地の方々への聞き取り調査)が実施できなかったため。
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Research Products
(8 results)