2018 Fiscal Year Annual Research Report
When Children of the Revolution become Parents: Anthropological Study of Cubans' Child-rearing in Spain
Project/Area Number |
16K03227
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田沼 幸子 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (00437310)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | キューバ / スペイン / カタルーニャ / バルセロナ / 子育て / ネオリベラリズム / 地域ナショナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
夏の1ヶ月間調査を行った。前年にカタルーニャ独立の是非を問う投票、その実施を問われての州政府上層部の亡命など政治的に不安定な状況が続いていた。経済的にも、物価、とりわけ家賃が上昇し、現地人の配偶者がおらず賃貸物件に住むキューバ人の生活を一段と厳しいものにしていた。 調査開始時には乳児を保育していた親たちも、子供が3歳になる年に入学できるP3になると、子供を進学させるようになった。高額な私立ではなく、無料の公立か、安価な半官半民のコンセルタードと呼ばれる学校に通わせている。いずれにおいても、使用語は州の公用語であるカタルーニャ語である。子はすぐに順応し両方を話せるようになったが、家で使っており、スペインだけでなくラテンアメリカ広域で通用するカスティーリャ語が第二外国語として軽視されていることに不満を持つ者もいるが、 様々な不満からカタルーニャ外への移動を望みながらも子供のもう一人の親がバルセロナに根付いていているため、大半が思いとどまる。また、医療と教育が無償か非常に安価ではあるものの、家賃が収入の半分を占めるため貯蓄はできず、今いる場所から移動するような大きな変化を準備することができないことも挙げられる。当面、子供が成人するまではここにいる、とほとんどの人が答えた。成人した子供が自分の意思で大学に進学すれば、そこで働きながら払うことができる程度の学費を払えるためだ。ほとんどのインフォーマントが専門学校か大学卒業者だが、自分の子供も進学が必須だとは考えていなかった。現在のスペインにおいて、就職するために高等教育は必須ではないし、卒業しても望む仕事に就けるとは限らない。また、本人たちも親に強いられて勉強したり就業していない。子の将来のため、自己犠牲をしようという考えは見られなかった。
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Research Products
(6 results)