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2016 Fiscal Year Research-status Report

美容整形の受容と拡大が照らし出す日本社会と韓国社会

Research Project

Project/Area Number 16K03240
Research InstitutionShoin University

Principal Investigator

川添 裕子  松蔭大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10400821)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords整形の普通化 / 美の系譜 / 伝統の流用
Outline of Annual Research Achievements

本研究は,日韓の美容整形の展開を政治経済の文脈に位置づけ,「普通」感覚・理想美・身体認識の変化と背景を明らかにすることを目的としている.本年度は,文献とメディア調査を中心に研究を行った.
美容整形に対する「人工美」「流行」「儲け主義」といった一般的なイメージは,美容整形を周縁的な医療に位置付けてきた.一方「美」の系譜に関する従来の議論は「自然」や「正統」や「普遍性」を前提としていて,画家とパトロン間の関係や市場などを背景にした功名心やウケなどは,あまり顧みられてこなかった.近代以降,美が外面だけで捉えられるものとされ,かつ女性に割り当てられてきた点も考え合わせれば,最も人工的とみなされている美容整形から,これまでの美の系譜の捉え直しの可能性がある.これは患者や医療者を含めた社会へのフィードバックの項目の一つとなる.関連して,韓国における整形の流行の理由としてしばしばあげられる「父権社会」「女性美重視」「外面重視」も再考すべきことが明らかになった.家族形態の「儒教化」の浸透を近代化の過程(1860~1910年代の王朝崩壊と階層流動化)と捉える見方,テレビの整形リアリティ番組にみられる「親子関係」重視の構成,そして就職採用面接試験と人相見の関係などは,資本主義が深化していく道筋において,「伝統」的言説が巧妙に織り込まれながら,自国のアイデンティティ,美容産業が確立してきたことを示唆している.
日本での調査からは,美容整形が「普通化」に向かってきていることが窺えた.一方で医療観光のコンテンツとしてのグローバルな展開に対しては全体的に消極的で,臨床研修制度などの問題も抱えている.これらは次年度以降,日韓比較しながら,高齢化,医療制度とも突き合わせながら考察していく.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

臨床を含む現地調査の点で若干遅れが出た.韓国の現地調査は,調査先との調整がつかないなどの理由で,1回しかできなかった.インタビューや予備的アンケートから全体像を掴む段階にとどまっている.日本では,特定の美容外科クリニックでの患者調査の実施が難航したため,スノーボーリング方式に切り替えて進めた.

Strategy for Future Research Activity

29年度も,文献及び現地調査から,美容整形の経緯と現状,近代美学の相対化,医療制度問題に取り組む.韓国関連データ収集は,2名の韓国人研究者に加わってもらい精度を上げる.1.文献調査ー(1)人類史,近代美学の検討は継続する.(2)日本ー29年度は明治以降の医学誌収集を行う.美容整形が中心だが,ハンセン病,ダウン症児への容貌治療との関連についても考察する.(3)韓国:帝京大学経済学部金振晩准教授は,韓国の医療観光の全体像を明らかにし,そこからコンテンツとなった美容整形の発展要因,現状,問題に就てデータを収集し,政治経済的背景を含めて分析を行う,松蔭大学観光メディア文化学部金宰相講師は,整形に関する韓国語のメディア言説及び,90年代以降の広告規制についてのデータ収集分析を行う.2.現地調査ー(1)日本については引き続き川添が外科医,経験者,関連官庁に聞き取り調査を行うとともに,美容整形関連SNS等にも目を配っていく.(2)韓国:金振晩准教授は必要に応じて医療観光関係者に聞き取りを行う.金宰相講師はメディア上の言説が中心だが,韓国の関係者を川添に紹介.それに基づき川添が訪韓し,美容クリニックの医師に聞き取りを行う.また整形について分析を行った研究者や医療人類学者を訪問し,意見交換,討論を行う.

Causes of Carryover

韓国現地調査を3回計画していたが,調査先との調整がつかないなどの理由から1度の実施となり,旅費,滞在費,現地の調査協力者への支払いがなかった.

Expenditure Plan for Carryover Budget

韓国は3回訪問する予定である.また新たに2名の研究分担者への分配がある.さらに外国人研究者との議論に役立てる目的で,日韓比較に関する拙論を英文で公表するするための英語校正費用を支出する.

  • Research Products

    (5 results)

All 2017 2016

All Journal Article (2 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 身体からあふれでる美2017

    • Author(s)
      川添裕子
    • Journal Title

      松蔭大学紀要

      Volume: 21 Pages: 121,132

  • [Journal Article] 人間の生み出した美の営み2016

    • Author(s)
      山本芳美,川添裕子
    • Journal Title

      週刊「読書人」

      Volume: 3153 Pages: 1-22

  • [Presentation] 美と身体の文化人類学2016

    • Author(s)
      川添裕子
    • Organizer
      五感による”美しさ”の創造,第1回シンポジウム
    • Place of Presentation
      花王株式会社感性科学研究所
    • Year and Date
      2016-10-21
    • Invited
  • [Presentation] 「じぶん」をあそぶ~イレズミと美容整形の過去・現在・未来2016

    • Author(s)
      山本芳美,川添裕子
    • Organizer
      信愛書店en=gawaイベント
    • Place of Presentation
      信愛書店
    • Year and Date
      2016-07-22
    • Invited
  • [Book] 乳房の科学2017

    • Author(s)
      北山晴一,山口久美子,田代眞一,川添裕子,他17名
    • Total Pages
      印刷中
    • Publisher
      朝倉書店

URL: 

Published: 2018-01-16  

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