2019 Fiscal Year Annual Research Report
Contribution of Sri Lankan Tamil to the Evolution and Re-reconstruction of Indian Dance: A Relational and Holistic Approach
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16K03247
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
竹村 嘉晃 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 外来研究員 (80517045)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インド舞踊 / グローバル化 / バラタナーティヤム / スリラカ系タミル人 / シンガポール / グローバル・ネットワーク / 媒介者 / 「芸のキャリア」 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年となった令和元年度は、プロジェクト全体の大きな業績として、2019年4月20日に東洋音楽学会西日本支部と合同で国際ワークショップ“Globalization of Indian Dance: the Evolution of Bharatanatyam among Sri Lankan Tamils Communities”を開催した。これまでの研究成果を公表した同ワークショップは、国内外の研究協力者と共に「タミル・アイデンティティ」という概念の検証を行いながら、北米・ヨーロッパ・シンガポールにおけるスリランカ系タミル人の関与とバラタナーティヤムの受容動態を比較検証した。東洋音楽学会員の研究者が多数参加し、他地域の芸能をめぐる状況との比較など、非常に意義のある意見交換が行われた。ここでの発表をさらに発展させ、2019年11月にはシンガポール、12月にはスリランカのコロンボで開かれた国際シンポジウムにおいて研究発表を行った。 またこれらの研究発表を通じて得た助言や指摘をふまえ、12月にシンガポールとスリランカで補足調査を実施し、バラタナーティヤムの受容・実践をめぐる民族間の軋轢や教育機関での関与などについて情報を収集した。 本研究では、インド芸能のグローバル化をめぐる状況について、これまで注目されてこなかったスリランカ系タミル人に関与に着目し、その特徴や共通性、地域差などを明らかにすると共に、グローバル・ネットワークに関わる媒介者の存在や初舞台公演の社会的機能、芸能研究におけるマルチサイト民族誌的な方法論の必要性を指摘した。そして従来の研究のようなディアポラ・コミュニティ内の動態に視点をおくのではなく、媒介者や「芸のキャリア」となる実践者個人が積み上げているネットワークとグローバル化の動態を描き出すことについて、具体的な事例の積み上げができつつある。
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Research Products
(12 results)