2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03264
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
入江 秀晃 九州大学, 法学研究院, 准教授 (50600029)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 調停 / メディエーション / 紛争解決 / 紛争管理 / 人災育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、当事者と調停人が協働して問題解決に当たる現代調停の人材育成について、演繹的な思考と、反省的な思考がスパイラル的に連続しながら、実践を改善していくモデルを研究していく活動を行っている。 本年度は、初年度として、基礎的な検討を進め、小規模な論考として「自己決定支援における法律専門家のあり方」(市民と法、104号)をとりまとめた。また、熊本県弁護士会ADR委員会の震災ADRプログラムに外部専門家の立場で参画し、特殊な状況下での人材育成のあり方を探る取り組みを行った。 前者の論考は、現代調停をプロトタイプとし、法律相談を始め、コラボラティブローや、組織内の紛争システムデザインに至る、様々な現代的な法律専門職の職業的関わりを「支援」の観点で整理し直したものである。裁判官が裁定するために作られた法律学を部分的に適用するだけで、支援の観点を欠いていれば、当事者の問題解決という観点でどのような問題が生じるかについて、具体的に示すことができた。小規模ではあるが、理論的な核となりうるとりまとめと位置づけられる。 また、後者の熊本での震災ADRプログラムに関しては、新聞等のマスメディアにもとりあげられているが、被災地の問題解決に一定の貢献を果たすことができた。外部専門家の立場で、シンポジウムのコーディネートを行ったり、若手弁護士向けのあっせん人研修を行ったりすることで、実際的な貢献をしつつ、研究を進められた。熊本の震災ADRプログラムについては、仲裁ADR法学会の学術誌『仲裁とADR』で論考が掲載されることが決まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論考の公表も進み、成果が形になっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
紛争管理理論の基礎研究の観点での掘り下げを進める。また、社会福祉、ソーシャルワークの理論と紛争管理理論の関連についての考察も深め、何らかの成果に結びつけたい。
震災ADRプログラムについては、国際学会での報告を準備する。
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Causes of Carryover |
各地の実務家との情報交換等で旅費が嵩み、人件費を使用する余裕がなく、逆に差額として若干の金額差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
有意義な情報の入手と、情報発信のために効率的に使用していく。
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