2019 Fiscal Year Annual Research Report
Research on dispute resolution training
Project/Area Number |
16K03264
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
入江 秀晃 九州大学, 法学研究院, 准教授 (50600029)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 調停 / 裁判外紛争解決 / メディエーション |
Outline of Annual Research Achievements |
調停技法教育をより実質的に深化させる方向での研究を行ったが、離婚調停後の面会交流紛争等の家事分野及び、震災や台風などの自然災害後の災害ADR対応の分野における一定の成果を持つことができた。家事分野については、家庭裁判所において調停手続の改善のために取り組むべき方向性を論じ、また、各調停委員が取り組むべき技法モデルについて具体的に取りまとめることができた。こうした議論については、二宮周平教授編の著書として、世に問うことができた。若林昌子教授(元裁判官)のような有力な論者からも一定の評価を受けることができた。 災害ADRについては、特に熊本での震災ADRについて実務家と事例検討会を重ね、また、全国大会(2019年日弁連・全国ADRセンター連絡協議会)などを通じて、具体的なあり方、リフレクションの持ち方、人材育成などについての考え方の提示を行うことができ、弁護士会ADRセンターでの災害ADRプログラム設置の動きに貢献することができた。 弁護士以外の法律専門職団体として、司法書士会におけるADRの取り組みの論考についても反響を呼んだと認識している。 職場における紛争解決・紛争予防については今後に取り組むべき方向性をある程度つかむことができたが、公表できた研究成果は米国における紛争システムデザイン研究の紹介に留まり、道半ばの状況でプロジェクト期間を終えることとなった。 家事分野におけるハーグ調停や、京都国際調停センターの設立に見られるように、日本の調停・ADR実務が、国際的なメディエーション実践者からの疑問に応答できるような準備が、日本の調停人・調停機関に求められる時代が遂に到来しつつある。特に、調停人養成のシステムの意味で、近い将来抜本的な改革が求められていると考えられ、その準備としては一定の成果があったと考える。
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