2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03391
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早川 眞一郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40114615)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 生殖補助医療 / 代理母 / ハーグ国際私法会議 / 国際親子法 / ISS(国際社会事業団) |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、国際的生殖補助医療(国際的代理出産を中心とするう)をめぐる法的規律(生殖補助医療実施自体の規律およびそこから生まれた子の親子関係等の法的地位の規律)について、文献を収集するとともに、各国の研究者と連絡を取りつつ、検討した。ハーグ国際私法会議の国際親子法(国際代理出産の法的規律を含む)に関するプロジェクト、及び、International Social Service(ISS:国際社会事業団)の国際的生殖補助医療に関するプロジェクトについて、関係者へのヒアリング・協議等を通じて、諸外国における最新の情報を入手することができ、また今後の研究に役立つ人的なネットワークも作ることができた。生殖補助医療に関する法的規律や社会的な許容度は、国によってきわめて多様であることが、具体的な点も含めて明らかになった。今後の国際的な規律の在り方についての態度も、国によって大きく異なり、統一的な国際的ルールを作ることの困難さが浮き彫りにされた。しかし、とくにISSのプロジェクトにおいては、国連の代表者も加わるなどして、きわめてレベルの高い議論が行われ、多くの国にとって受け入れ可能な国際的ルールが真剣に模索されている。まだ議論の過程ではあるが、理論的な意味でも注目に値するものと考えている。 日本における国際的生殖補助医療の法的規律の状況については、ISSの会議で説明するための英文メモを作るなど、一定の整理をおこない、また、最高裁平成19年3月23日決定 ── 外国での代理出産によって生まれた子の実子出生届を認めなかった裁判 ── についての解説も執筆した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ISS(国際社会事業団)の国際的生殖補助医療に関するワーキンググループに参加し、実際の会合にも出席したことによって、各国の理論・実務の状況を詳細に知ることができ、また、各区の研究者・実務家とのネットワークが形成された。また、日本法の状況についても、一定の整理をおこなうことができた。これにより、今後の更なる検討の基盤がつくられたものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、各国の専門家とのネットワークを活かし、また文献の渉猟を通じて、最新の情報を取得しつつ、国際的生殖補助医療の法的規律方法につき、検討する。とくにISS(国際社会事業団)のワーキンググループでの議論に参加することにより、今後の国際的規律の在り方について具体的に検討する作業を行う。
|
Causes of Carryover |
予定していた外国書籍の購入が入荷の都合で遅れたため、約6万円の差額(次年度使用額)が生じたが、これについては次年度に納入・支払いをする予定である。
|