2018 Fiscal Year Research-status Report
性的マイノリティの人権救済をめぐる韓国の「積極司法」の構造的特質に関する研究
Project/Area Number |
16K03444
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
岡 克彦 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (90281774)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トランスジェンダー / 性的マイノリティ / 積極司法 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究3年目に入り、当初の計画どおり現地でのフィールドワークを重ねながら、当該研究のデータベースをある程度、構築されつつある。その内容は、主にトランスジェンダーに関する判例の集積である。古くは、1990年代からトランスジェンダーによる性別変更の可否が家庭法院および地方の下級法院で扱われていた。それと2006年までの動きである。この年は、大法院が正式に同性別変更の司法基準を確立し、その後のリーディングケースとなったときである。さらに、この決定以降、法院ではトランスジェンダー問題がどのような事件へと展開し、かつ法院の判断がどのように変化したのか、あるいは変化しなかったのかの動向を探る上でも、関連の判例を調査し、判例を収集した。その結果として、昨年はアジア法学会でトランスジェンダー問題の中間報告を行うことができた(2018年6月)。特に、最近、話題となっているトランスジェンダーの脱病理化の国際的な傾向である。従来、「性同一性障がい」として精神疾患として位置づけられていたのが、そもそもトランスジェンダーが「疾病」なのかという問題が提起されている。この流れと韓国法の動向との比較を試みている。また、韓国の男女をめぐる家族法問題についてその研究成果として学会誌にも発表した。この論稿では、韓国においてトランスジェンダーによる性別変更が法院で許可されにくい制度的な要因について分析を行っている。異性愛を中心とした男女の夫婦が家族をつくるべきであるとの「近代家族モデル」が韓国法でどのように形成されたのかを論じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の中間計画でほぼ当初の目的を研究成果として得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度もさらに進行させる。
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Causes of Carryover |
現地に数回、フィールドワーク調査を行う予定であったが、本務校での公務のため実施できなかったことがある。したがって、昨年度にできなかったフィールド調査を本年度に追加実施する計画である。
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