2016 Fiscal Year Research-status Report
地球環境政策過程における企業アクターの役割の研究―生物多様性の事例と政策デザイン
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16K03488
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
横田 匡紀 東京理科大学, 理工学部教養, 准教授 (20400715)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 企業アクター / 国際規範 / 地球環境政策過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は地球環境政策過程における企業アクターの役割の多様性を考察することにある。具体的には、1)企業アクターの役割に関する仮説の検討、2)日本における生物多様性政策の事例の検討、3)事例検討を踏まえた持続可能な社会に向けた政策デザインの検証を行う計画である。 このうち平成28年度においては、 1)と2)の作業を中心に研究を進めた。 1)の企業アクターの役割の多様性に関する仮説の検討については、関連する文献の入手及び読み込みを始めた他に、国内外の学会や研究会において情報収集に努めた。企業アクターの役割に関して、グローバルな規制を積極的に受け入れるよう行動する側面、「底辺への競争」を行い、グローバルな規制に抵抗する側面、「頂上への競争」を目指し、他のセクターとの協働を試みていく側面など多様な役割の存在を把握することができた。更にこうした企業アクターの役割の多様性を理解するにあたり、環境政治学の研究だけではなく、経営学や企業の社会的責任論、利益集団論、比較政治学などの研究ともつながりがあることが明らかとなり、研究課題の潜在的意義を実感するに至った。 2)の事例検討に関しては、、研究計画では2000年代後半以降を対象とするとしていたが、文献、資料の検討、> 、中央環境審議会の地球環境部会や総合政策部会、産業構造審議会などの環境省や経済産業省の審議会や研究会、業界団体やNGOなどのシンポジウム、勉強会などでの参与観察の結果、2000年代後半以前の動向についてもフォローする必要があること、生物多様性政策の範囲が自然保護、遺伝子組み換え、遺伝資源の利益配分など多岐にわたり、ある程度焦点を絞る必要があることが明らかとなった。 以上の研究の成果については、国内外の学会において報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で言及した通り、平成28年度では研究計画のうち、1)企業アクターの役割に関する仮設の検討、2)日本の生物多様性政策に関する事例の検討を中心に作業を進めた。双方の作業について、一定の進展を見ることができた。 1)の「企業アクターの役割に関する仮説の検討」については、文献の収集や読み込みにより、役割の多様性や今後の検討の方向性が明らかとなった。 2)の「日本における生物多様性政策の事例の検討」についても、事例の意義を確認するとともに、どのように焦点を絞って進めていくのかについて手がかりを得ることができた。 平成28年度に行った研究課題に関する検討については、学会報告などの場で、その時点での成果を公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、研究実績の概要で言及した3つの検討作業を引き続き行う。具体的には、平成28年度で検討を行った1)の「企業アクターの役割の多様性に関する仮説の検討」、2)「日本における生物多様性政策の事例の検討」に加えて、3)「持続可能な社会に向けた政策デザインの検討」の作業の着手を開始する予定である。 1)に関しては、現在までの進捗状況で言及した経営学、企業の社会的責任論、利益集団論、比較政治学に関する文献のフォローし、仮説の検討を行う予定である。2)の事例検討に関しては、現在までの進捗状況でも言及したように、ある程度焦点を絞って検討を行う予定である。具体的には、遺伝資源の利益配分に関する事例に焦点をあて、企業アクターの役割の多様性を検証していきたい。この点に関しては、2010年に採択された名古屋議定書の受諾をめぐるプロセス、企業アクターと他のセクターとの協働のプロセスをとりあげる予定である。事例検討の際には、2000年代後半以前の動向や国際規範の影響などもみていく予定である。3)に関しては、環境政治理論に関する文献のフォローに努めていく予定である。文献の収集、読み込みだけではなく、経済産業省や環境省の審議会、国内外の研究会、学会などでの参与観察、情報収集を行い、より多面的な理解が得られるように努めていく予定である。また研究成果の公表についても、国内外の学会での報告、論文の投稿を行い、実績を出すように努めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画のうち、企業アクターの役割の多様性に関する仮説の検討、事例検討の準備に専念したため、予定より支出が少なくなってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
報告が確定している国際学会など、研究成果の公表、研究計画の遂行に必要な書籍など必要な物品の購入に補助金を使用する予定である
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Research Products
(7 results)