2017 Fiscal Year Research-status Report
EUにおける社会的排除とシティズンシップに関する研究
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16K03509
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
細井 優子 拓殖大学, 政経学部, 准教授 (60638633)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会的排除/包摂 / EU / シティズンシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的のひとつは、「EUにおける社会的排除/包摂の類型」を明らかにすることである。しかし、社会的排除/包摂概念には定義がなく多義かつ曖昧な点が多いため、社会的排除/包摂をめぐる言説やパラダイムの文献研究を行い、論文「社会的排除/包摂概念の整理」を執筆した。論文は平成30年度前半に発表予定である 「EUにおける社会的排除/包摂」に迫るべく、概念整理を基に欧州委員会担当者へのインタビュー調査を実施した。インタビュー調査を基に、EUによる社会的排除/包摂への取り組みを研究するとともに、EUに影響を与えたフランスとイギリスにおける社会的排除/包摂の概念と政策に関する研究を行った。この点に関しては、平成30年度中に論文としてまとめ、発表する予定である。 さらに、本研究課題のテーマである「EUにおける社会的排除とシティズンシップ」はポピュリズムとも非常に関連が深い。平成29年度はEUにおけるポピュリズムに関する著作Ivan Krastev(2017) AFTER EUROPE, University of Pennsylvania Pressの翻訳も手がけた(入稿済み)。この翻訳は岩波書店より平成30年夏に出版予定である。 また、EUの研究助成(エラスムス・プログラム)による国際共同研究プロジェクトA New Dimension in Asia-Europe Relationsの研究成果として、論文Japan-EU Relations and Strategic Partnershipを執筆した。これは平成29年10月30日にすでに雑誌Asia Europe Journalに投稿しており、平成30年6月に出版される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
社会的排除/包摂概念が当初想定したよりも多義的かつ曖昧であるため、当初計画よりも多くの時間と文献研究を要した。さらに、本研究課題の目的である「EUにおける社会的排除/包摂の類型」をまとめる前に、その研究成果である社会的排除/包摂概念の整理を論文としてまとめる必要があったため、当初計画よりやや遅れをとってしまった。 さらに、EUにおける社会的排除に関連して、EUにおけるポピュリズムに関する著作の翻訳を手がけたことや、EUによる研究助成を受けた国際共同研究に参加し論文を執筆したことも、本研究課題の遅れにつながってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
最も時間がかかっていた社会的排除/包摂概念の整理と論文執筆と翻訳を終え、国際共同研究もひと段落することができた。今後は本研究課題に集中できる環境を確保し、すでに着手しているイギリスとフランスの社会的排除/包摂の概念と政策に関する研究をまとめるとともに、欧州委員会へのインタビュー調査をさらに掘り下げて研究し、順次論文にまとめていく予定である。
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