2020 Fiscal Year Research-status Report
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16K03525
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
沖村 理史 広島市立大学, 付置研究所, 教授 (50453197)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 気候変動問題 / 国際制度 / 実効性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象となるパリ協定が、2015年に定められて5年が経過した。パリ協定の詳細ルールも2016年以降の交渉を経て、一部を除き合意が成立した。パリ協定交渉最終盤時に申請した本研究は、パリ協定の成立を前提とし、パリ合意の実効性の実証分析と国際関係理論への示唆を研究の目的として設定した。 2016年度から行ってきた本研究は、これまで、パリ協定の詳細ルールの決定過程の調査するため、国連気候変動枠組条約の締約国会議に参加し、国際交渉を参与観察するとともに、決定されたパリ協定の詳細ルールが気候変動政策に与える影響を評価するため、国レベルや企業レベルの気候変動政策についても情報収集に努め、パリ協定の実効性の評価に必要な実態調査を行ってきた。さらに、パリ協定から脱退を表明したトランプ政権の動向と、アメリカの方向転換がパリ協定の実効性に与える影響も調査を行ってきた。 その上で、本研究の最終前年度になる2019年度は、研究目的として設定した二つのテーマについて、実証分析は論文にまとめ、国際関係理論への示唆は2019年10月に開催された日本国際政治学会で報告し、これまでに行ってきた実態調査を国際協定の実効性に関する先行研究を踏まえて分析した。 本研究の最終年度となる2020年度は、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で、各国が国内措置を更新し報告する予定となっており、その内容を実態調査した上で本研究の最終報告をまとめる予定としていた。しかし、新型コロナウイルスの世界規模での蔓延により、会議が一年延長となったため、強化された各国の国内対策が報告される機会が失なわれた。そのため、資料収集を中心に各国動静を調査するとともに、アジア地域における傾向を論文にまとめ、論文集の一章として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、当初開催予定であった国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が、新型コロナウイルスの世界規模での蔓延により、一年延長となったため、国際交渉自体が停滞した。その中で、パリ協定から脱退したアメリカの国内政治に視点を定め、アメリカ大統領選挙におけるトランプ候補とバイデン候補の気候変動政策の違いや、バイデン大統領が就任した後のアメリカの気候変動政策について、資料収集を行った。また、COP26で各国が報告する予定であった強化された各国の国内対策についても、その動向に関する資料収集を行った。また、アジア地域における環境問題についても論文にまとめ、論文集の一章として発表した。 このように、パリ協定の実効性を検討する上で、気候変動ガバナンスの変容の状況について、国際社会の動きを詳細かつ多様な観点から調査した。コロナ禍で国際交渉が停滞する中においても、実施可能な資料収集を行うとともに、継続して成果を発表し続けている。このように、本研究の申請時に示した研究計画では想定していない状況下でも、適切な調査を行うことができているため、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に開催予定であった国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)は、新型コロナウイルス対応で開催時期が一年延期され、2021年11月に開催することとなった。そのため、研究期間を一年延長し、COP26に参加してパリ協定の詳細ルールの制度設計と強化された各国の国内対策を取材したい。ただし、コロナ禍の状況次第で延期された会議が無事に開催されるか、さらにオンラインによる非公式な開催など、開催時期や開催形態は流動的な状況にあり、今後の研究計画に大きな影響を影響を与える。 仮に2021年度内に会議が開催されたら、国際交渉の現場で、パリ協定によって各国・各地方自治体、各ステークホルダーの気候変動政策がどの程度進展しているのか、聞き取り調査を行う予定である。また、同時並行して気候変動ガバナンスや国内、地域レベルでの気候変動政策決定過程に関する文献調査、およびパリ協定復帰を通告したアメリカがどのように政策を変更するのかについても調査を行う。会議が実行されない場合でも、各国が強化しつつある国内対策について資料収集を行い、現状における評価を行う。その上で、これまでの研究を踏まえた国連気候変動枠組条約体制の実効性について、最終見解を論文としてまとめる予定である。したがって、研究費の多くは旅費に用いられ、一部は文献調査に必要な書籍、論文購入に充てる予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度予算で現地調査のため参加することとしていた国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)は、当初英国のグラスゴーで開催が予定され、高額な旅費による予算不足が懸念されることから、2020年度予算も前半は意図的に執行を抑制した。しかし、コロナ禍で開催が一年延期されたため、研究期間を延長して対応することとした。これらの理由から生じた次年度使用額は、2021年度の調査研究で執行される。本研究は、基金によって行われているため、このような外的条件の変化にも柔軟に対応することができ、複数年度にわたる研究計画を遂行する上で大変ありがたく感じている。
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Research Products
(1 results)