2019 Fiscal Year Annual Research Report
Reconsideration of Keynes Hayek Friedman's view of capitalism from the perspective of economic agents
Project/Area Number |
16K03576
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
廣瀬 弘毅 福井県立大学, 経済学部, 教授 (20286157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 裕介 中京大学, 経済学部, 准教授 (00611302)
江頭 進 小樽商科大学, 商学部, 副学長 (80292077)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 新自由主義 / 自由主義 / フリードマン / ハイエク / ケインズ / 規範性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究は,過去の偉大な経済学者・思想家の理論を単に再確認することではない。むしろ,ケインズの言葉を借りるまでもないが,過去の思想こそが現代の社会の大きな流れを形作っている側面もある。 例えば,自由主義者の代表格であるハイエクやフリードマンの両者の違いが,その後のいわゆる「新自由主義」的な流れにどのような影響を与えたのか,これは極めて現代的な課題である。いわゆる営業の自由的なものは,法人が何でもできるところまで意味するのか,こういった根源的な問題にまで掘り下げなければならないはずである。また,リーマンショック以降,「ケインズの回顧」がフィーチャーされたが,彼の労働市場や金融市場に対する市場観まで掘り下げた政策の見直しは結局行われなかった。これは,表面的に市場の不調の穴を塞ごうとするアドホックな姿勢に問題があろう。 そこで,吉野はイギリス啓蒙思想以来の伝統を持つ「自由」の意味と,アメリカ自由主義の代表格フリードマンでは,どこか引き継がれどこがそうではなかったのかを問うた。また,江頭は,市場の自由と人権の保護とがどう助長し,どう抵触し合うのか,フリードマンやハイエクの立場から答える研究を進めた。廣瀬は,一見中立的に見える経済理論が,実際には理論構造の中に「規範性」を隠し持っていることを明らかにした。そして,現代の福祉思想家の議論,反主流派の議論の中に,「規範性」に対してどのような抵抗力を持っているのかを確認している。 江頭と廣瀬は,さらに理論が持つ科学性がどのように担保されるのか,またどのような意義を持ち得るのかということを深めるため(別の研究グループと)哲学なき経済学の可能性についても,研究を深めた。 この後,吉野と江頭,廣瀬は,さらにこれまでの定性的な研究から一歩足を踏み出してテキストマイニングなどの手法を用いた定量的な研究の可能性を探るプロジェクトにつなげている。
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Research Products
(6 results)