2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16K03652
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大久保 敏弘 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80510255)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自然災害 / 企業の異質性 / 産業集積 / 防災 / 創造的破壊仮説 / 国際貿易 / 空間経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
産業集積の強靭化と高質化に関して、理論と実証の両面から研究を継続して行った。今年度は以下の4点を重点的に研究し成果をあげた。第一に、企業立地と企業の異質性に関して製品レベルでの分析を理論・実証研究にて行い、Forslid and Okubo(2018)としてDPにまとめた。製品レベルでの企業の異質性の分析を空間経済学に応用・融合させた。これにより高質な製品を生産する企業の立地や産業集積を解明した。第二に「高質な」産業集積の形成として企業の環境対策に着目した。企業の汚染対策に関する理論・実証研究を行い、企業の異質性と汚染対策、環境政策の貿易パターンや企業立地に与える影響を明らかにした。研究成果はForslid, Okubo and Ulltveit-Moe(2018)としてJournal of Environmental Economics and Managementに掲載された。第三に、「強靭な」産業集積の分析として大規模自然災害(負のショック)がどのように産業集積に影響するか、長期的な経路の変化を歴史データにて実証研究した。関東大震災における横浜市の企業レベルでの生産性の研究を行った。特に企業の存続と工場の生産機械の更新や性能の向上に関して創造的破壊仮説を検証し実証的に明らかにした。論文はOkazaki, Okubo and Strobl(2019)としてJournal of Economic Historyに掲載された。第四に地域経済と金融・貿易・ショックやリスクに関する長期的な分析を行った。長期統計を用いて日本の地域経済に関する実証研究をAlex Wagner氏、Mathias Hoffmann氏らとの共同研究を行った。このような理論・実証研究と並行して、データの収集と整理も計画通り進めており、自然災害や日本の地域の生産や国際貿易に関する長期・歴史データを整理した。
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