2016 Fiscal Year Research-status Report
日本の農業政策に関する実証研究~農業部門の非効率性および経済厚生への影響
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16K03690
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
岡川 梓 国立研究開発法人国立環境研究所, 社会環境システム研究センター, 主任研究員 (20550065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 哲也 上智大学, 経済学部, 准教授 (40634332)
日引 聡 東北大学, 経済学研究科, 教授 (30218739)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 農業政策 / 効率性評価 / 作物選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、農林業センサスのオーダーメイド集計データ(農林水産省)の利用申請を行い、農林水産省より提供を受けた。また、入手したデータを統計分析に使えるように加工する必要があるが、その目途を立てた。さらに、農業経営体の効率性評価や作物選択に関する文献調査を行った。また、調査した文献と農林業センサスの調査項目を照合することで、2017年度に実施する農家を対象としたアンケートの調査項目について検討した。同時に、農作物直売所や自治体にヒアリング調査を実施し、農業経営体の作物選択や生産規模に関する意思決定について情報を得た。 農林業センサスについては、1990年~2015年の期間の5年ごとの調査票を精査した。複数の作物を栽培している農家について、販売額上位3位までに販売額しか調査していない点や、生産費用を調査していない点、兼業農家の農業外所得を調査していない点が、効率性評価や作物選択の分析をするにあたり十分とは言えないものの、必要最低限の情報が得られることを確認した。 農作物直売所に対するヒアリング調査では、必ずしも大規模化が効率化につながるわけではなく、どういった消費者をターゲットにしてどのような品質の農作物を供給するか、またもともとの農業経営体の農地面積や立地条件といった初期条件によっては、比較的小さい規模を選択する経営体も存在することが明らかとなった。また、自治体に対するヒアリング調査では、農地バンクの利活用状況が、貸し手400人に対して借り手が100人程度と、供給過多になっている情報を得た。ただし、そもそも農地バンクに登録される農地は条件が良くなく、近隣の農業経営体との直接交渉では貸借が成立しないために農地バンクに登録されているという留意点があることもわかった。また、農家を対象としたアンケート調査について、調査票の配布や回収の方法についてアドバイスを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
農林業センサスを用いた統計分析まで行う予定であったが、複数年にわたるデータを接続し、パネルデータを整備するところで行き詰った。しかし、文献調査は予定以上に進めることができた上に、農林業センサスの調査項目を精査することで農家を対象としたアンケート調査の調査項目についての議論を深めることができたため、おおむね順調に進展していると評価する次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のパネルデータの整備については、データ整備のためのアルバイトを複数人雇用して進めることとする。
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Causes of Carryover |
農林業センサスデータの整備方針を立てるのに時間がかかり、購入するソフトウェアを再検討する必要が生じたため、購入を延期した。また、予定していたアルバイトについても雇用が後ろ倒しになった。また、打合せは電話会議等で事足り、調査も関東で行ったため、旅費の使用額が小さかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度にはデータ整備のためにアルバイトを雇用する予定である。データ整備には当初予定よりも時間がかかる見通しであることから、2016年の未使用額を謝金にあてることとする。
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Research Products
(1 results)