2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03731
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
室井 芳史 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (90448051)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 数理ファイナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
漸近理論を用いた原資産価格過程がCEV過程に従う場合のオプション価格の計算を行なった。特に、CEVのパラメータが微小のパラメータである場合にオプション価格計算を行なった。このような結果は確率論からも指摘されていた。また、価格式の低次展開式については既に研究が出ている。よって、このような研究は数学的には余り新規性があるとはいえないかもしれないが、その一方で効率的な数値計算法がよく知られているとは言えなかった。すなわち、得られた研究結果は提示の漸近展開式のみであり高次の展開式は微分や積分が複雑に入った形をしており実用性には乏しいと言う印象を持っていた。そこで、直接、価格式を計算するのではなく特性関数の近似を行いそれをフーリエ逆変換することでより単純な近似式を得ることを目標とした。そこで、CEV価格過程の特性関数の漸近展開の高次項を計算するために偏微分方程式による定式化しその解を求めてみた。効率よく計算するために、得られた偏微分方程式の解は純粋に代数的に多項式の計算のみで計算できることを示した。いったん特性関数が近似できると、高速フーリエ変化法により反転させることで、ジャンプ拡散過程におけるオプション価格評価、バミュダンやアメリカンなど早期行使権のある金融商品の価格付けに応用できることがわかった。残念ながら低次の展開式を用いた計算では近似精度が十分とは言えなかったが、多項式の計算のみで簡単に高次の漸近展開式が計算できたためオプション価格の極めて効率的かつ高精度な数値計算が高速で実行可能であることが判明した。現在、その結果は取り纏められて英文学術誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
残念ながら、二項分岐木を漸近論と組み合わせて考察を行なう課題は数値計算が困難であることが判明した。よって、残る課題は確率ボラティリティ・モデルを加味した信用格付けモデルの話題のみである。こちらの課題は1年間で十二分に対処できるものと考えている。よって、おおむね順調と言う評価が適切と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
確率ボラティリティ・モデルを加味した信用格付けモデルの話題は既に結論が得られており、今後は精査および数値計算が必要となる。価格式が少し複雑なため数値計算が面倒である可能性は否定しないが、単純に時間をかければこなせる課題と考えている。
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Causes of Carryover |
差額は7万円弱とあまり大きくはなく誤差の範囲と考える。研究遂行に必要なソフトウェアなどを適宜購入したいと考えている。
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