2018 Fiscal Year Research-status Report
先進国の金融政策正常化により新興国において発生するリスクに対するマクロ経済政策
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16K03741
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北野 重人 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (00362260)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国際マクロ経済学 / 国際金融 / 国際資本移動 / 新興国 / 資本規制 |
Outline of Annual Research Achievements |
新興国への資本流入に対応する政策について、金融政策等の既存の政策では不十分であるという認識がIMFを含めて一般的に共有されつつあり、これまでのオーソドックな政策ではない、資本規制やマクロプルーデンス政策といった、新たな政策対応が求められている。こうしたことを背景に、本研究は、資本規制やマクロプルーデンス政策の理論研究のフロンティアを拡大する分析を行っている。 昨年度の「今後の研究の推進方策」に記述したように、特に本年度は、平成29年度までの研究において構築した小国開放モデルにおけるマクロ政策の分析について、2国モデルに発展させる作業を主な作業を行った。 資本規制政策に関しては、Jeanne et al. (2012) が新たな国際ルールの必要性を指摘するなど、今後さらに研究されるべき重要なテーマであるにもかかわらず、他国への影響を考慮した分析は限られる。2国モデルに発展させることによって、両国の政策の相互作用の影響を分析することが可能となる。 具体的には、資本市場が不完全なことを特徴とする2国モデルを構築した。その上で、2国が行う資本規制政策について、どういった厚生水準がもたらされるかを検討した。各国の厚生水準を最大化する政策を行った場合(open loop Nash game equilibrium)と、2国が協調して両国を会わせた厚生水準を最大化する政策を行った場合(Ramsey policy)との比較を行い、資本市場が不完全であるほど、協調政策を行った場合とそうでない場合の差は、大きくなることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の一つを国際学術雑誌に公刊するとともに、別の研究成果を、Discussion Paperとしてまとめることができたため、概ね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、本プロジェクトの最終年度ということであり、個々の政策に関する研究に加えて、複数の政策についての比較やポリシーミックスの問題を検討することを中心に行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
共同研究者との打ち合わせ費用やセミナーの開催費用の一部について、所属する部局内の経費によって、まかなうことができたことと、海外出張し論文報告をする予定であったセミナー等の一部が、国内で開催されたことによって、次年度使用額が生じた。 この次年度使用額は、主に国内外の学会報告のための費用に使用する予定である。
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