2016 Fiscal Year Research-status Report
日本石炭産業合理化の歴史的意義の再検討―技術革新から海外技術移転への過程を中心に
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16K03793
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
島西 智輝 東洋大学, 経済学部, 教授 (70434206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋崎 尚子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40216049)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 技術移転 / 石炭産業 / 炭鉱 / 産業史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下の内容を実施した。第1に、石炭生産技術の革新過程に関する文書資料を各地で調査し、収集した。 第2に、日本の高度な石炭生産技術形成の背景を考察するために、元・炭鉱技術者の方2名の聞き取りを行った。今年度は、ソビエト連邦から技術導入・改良された水力採炭技術、および急傾斜採炭技術について、重点的にお話を伺った。これによって、具体的な技術革新の過程だけでなく、それを実際に機能させていくための教育、保安、組織の実態とそれらの重要性について知ることができた。本記録は文字起こしを行ったので、修正のうえ公開する予定である。 第3に、石炭生産技術移転研修事業の実施地であるベトナムでの実地調査を行い、同国の石炭産業の現状と技術的課題について調べた。調査の際には、研修事業の通訳として従事していた方に通訳を行っていただき、専門用語等について正確に理解できるように努めた。本調査によって、ベトナムの石炭生産技術の水準向上に日本の研修事業が貢献していること、しかし技術水準の低い炭鉱がまだ多く、引き続き研修事業を必要としていることが明らかとなった。また、諸外国の鉱山機械を利用している場合でも、日本の石炭生産技術のノウハウは広く応用可能であることも明らかとなった。 上記の研究を推進するにあたり、情報・方針の共有などを目的とした年2回の研究会・研究打ち合わせを実施した。 なお、調査対象者や調査地の都合上、以上の内容の実施がやや年度後半にずれ込んだため、本年度の研究実績の一部を盛り込んだ学会報告等はできたものの、年度内に研究成果物を公表するには至らなかった。そのため、研究成果物は第2年度に公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画では、文書資料調査、技術者への聞き取り、ベトナム現地調査にくわえ、日本国内で技術研修事業に携わった方への聞き取り調査も実施する予定であった。研究実績で示したように、3点目までは順調に実施できたが、4点目については調整がうまくつかず、未実施に終わってしまった。以上の理由により、上記の進捗状況にあると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究実施状況を踏まえると、第2年度以降も、申請時の研究計画にしたがって研究を推進するのが妥当と判断している。すなわち、初年度で得た知見と課題を踏まえ、引き続き文書資料調査、聞き取り調査、ベトナム現地調査を進める。その際、本年度に積み残しとなった日本国内で技術研修事業に携わった方への聞き取り調査を優先実施する。また、本年度の研究成果をできるだけ速やかに公表する。
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Causes of Carryover |
研究実施にあたり、物品費を大幅に節約できたため、若干の次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の実績を踏まえると、当初計画以上の謝金支出が見込まれるため、謝金支出に充当する計画である。
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Research Products
(1 results)