2016 Fiscal Year Research-status Report
日本企業の海外現地経営における「現地採用日本人」の活用に関する研究
Project/Area Number |
16K03914
|
Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
古沢 昌之 大阪商業大学, 総合経営学部, 教授 (30351480)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 国際人的資源管理 / 現地採用日本人 / 中国 / 英国 / 日本人性 / 日本人駐在員 / バウンダリー・スパナー / 日系進出企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は「国際人的資源管理」や「現地採用本国人社員」(self-initiated expatriates: SIEs)等に関する関連文献をレビューするとともに、中国・英国で実施した日系進出企業とそこに勤める現地採用日本人社員本人に対するアンケート調査結果の詳細な分析を行った。また、中国・英国にて日系企業と現地採用日本人双方へのヒアリング調査を実施した。そして、国際ビジネス研究学会第23回全国大会にて「多国籍企業の海外現地経営における『現地採用本国人』の活用に関する研究―在中国日系進出企業へのアンケート調査・ヒアリング調査に基づいて―」と題して研究成果を発表した。このほか、日米の学術誌(『国際ビジネス研究』『Thunderbird International Business Review』)に論文を投稿した(査読審査中)。さらに、訪米調査を行い、米国でのアンケート調査に向けた予備的ヒアリングを実施すると同時に、調査の共同実施主体である在米日系人材会社と打ち合わせをし、調査要領を確定させた。 中国・英国のアンケート調査・ヒアリング調査からの主たる発見事実とインプリケーションは以下のとおりである。1.現地採用日本人を雇用している日系企業は、日本語能力や日本のマナーの理解といった日本人SIEsの「日本人性」を重視している。2.現地採用日本人は、日本人駐在員に比して中国語/英語能力に優れるとともに、現地での在住・勤務・留学経験においても両サンプル間に統計的有意差が検出された(現地採用日本人>駐在員)。3.先行研究で散見された日本人SIEsの否定的側面(思考・行動の過度の現地化や責任感・忠誠心の欠如等)に関する企業側の不満は大きくなかった。これらの結果は、現地採用日本人が「日本」と「中国/英国」の「バウンダリー・スパナー」としての可能性を秘めた人的資源であることを物語っていると言えよう。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国・英国でのアンケート調査・ヒアリング調査からは、示唆的な分析結果が得られている。また、これまでの研究成果を学会発表や論文投稿という形で結実させることができた。さらに、米国でのアンケート調査に関しても、共同実施主体と綿密な打ち合わせを行い、29年度上期実施に向けての準備が整った。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、上期に米国におけるアンケート調査(日系進出企業と現地採用日本人の双方を対象)を実施する。また下期には上記アンケート調査の第一次分析結果を受けて、回答者へのヒアリング調査を行い、研究の深耕を図る。これらの研究成果は、前年度に引き続き、学会発表や論文投稿により発信していく。さらに、タイ及びドイツでのアンケート調査・ヒアリング調査(日系進出企業と現地採用日本人の双方を対象)についても準備を進める。このうちタイについては、年度内にアンケート調査を実施したいと考えている。 平成30年度は、タイでのヒアリング調査とドイツでのアンケート調査・ヒアリング調査を予定している。そして、対象国別の差異も交えて、これまでの調査結果を総括し、本研究成果の商業出版に向けた作業に取り掛かる。
|
Research Products
(1 results)