2016 Fiscal Year Research-status Report
アジアにおける日系自動車企業のロジスティクスと物流体制に関する研究
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16K03936
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
林 克彦 流通経済大学, 流通情報学部, 教授 (20258164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 敏則 一橋大学, 大学院商学研究科, 教授 (90156167)
石原 伸志 東海大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30433907)
橋本 雅隆 明治大学, グローバル・ビジネス研究科, 専任教授 (30218424)
齊藤 実 神奈川大学, 経済学部, 教授 (60409844)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自動車部品物流 / ミルクラン調達 / インド物流 / JIT物流 / 国際分業体制 / グローバルロジスティクス / サードパーティロジステイクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アジア地域における日系自動車企業のサプライチェーンとロジスティクスの現状と課題を分析するとともに、物流企業の自動車関連物流サービスのグローバル展開を把握することを目的としている。平成28年度最初の研究会では、研究枠組みの検討を行い、事例研究の対象としてインド南部自動車クラスター(ベンガルール、チェンナイ周辺地域)に立地する日系自動車企業と物流企業を設定し、事例研究に関連する先行研究のレビューや、統計の収集や分析等を行った。その後、インタビュー調査の相手先との折衝、調査票の作成、渡航準備等を行った。インドでは、デリー周辺に進出した企業(マルチ・スズキ、ホンダ、デンソー等)の調達物流を調査済みであり、その成果は「インドにおける日系自動車メーカーの部品調達ロジスティクス」として日本物流学会誌に掲載された。 平成28年9月には、トヨタキルロスカ、ルノー日産オートモーティブインディア、インド日通ロジスティクス、バンテックインディア等のインタビュー調査およびチェンナイ港、鉄道、道路等の実態調査を実施した。その結果、日系自動車企業はインド市場に適合した低価格小型車の投入や、周辺諸諸国との部品・完成車相互供給体制構築を進めており、日系物流企業はそれを支える効率的な部品ロジスティクスサービスの開発と提供を進めていることが分かった。インド南部クラスターでは、まだ生産規模が限られているため、ミルクラン調達や遠隔地混載等のロジスティクスシステムが導入されているものの、効率的な運営のためには道路インフラ整備、複雑な輸送制度、税制等が課題となっていることも判明した。これらの結果をまとめ、日本物流学会誌に投稿した。 さらにロジスティクス、物流に関係したものを含め雑誌論文7、学会発表2、図書2等の成果があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通り、国内での文献調査、統計調査を進め、インド南部自動車クラスターを対象とする海外調査を実施できた。この結果を報告書としてとりまとめたうえで、日本物流学会誌等に論文を投稿することができた。 平成28年度の実態調査により、日系自動車企業の特徴であるジャストインタイム物流の原則を海外でも守りながら、まだ限られた生産規模や現地のサプライヤーの分布等に対応した調達体制を整備しようとしていることが確認できた。ASEANや日本等と国際分業体制を構築し、インド南部を部品や完成車の輸出基地として活用しようとする動きも把握できた。 さらに、日系物流企業が現地のインフラ整備水準や物流産業の特異性に対応しながら、現地物流事業者との提携等により事業環境に対応したミルクラン物流や遠隔地混載等の物流サービスを開発していることが分かった。グローバル規模でサードパーティロジスティクス(3PL)を展開する一方、現地企業との競合・補完など多くの課題が残されていることも確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、これまでの研究メンバーを中心に研究会を継続し、文献調査や統計分析等を進めるとともに、海外現地調査により日系自動車企業・物流企業のロジスティクス研究を深堀していく計画である。これまでの研究蓄積をベースに、AEC(ASEAN経済共同体)の自動車産業の中心であるタイ、さらに自動車生産台数が急増しているインドネシアを調査対象として、継続的な調査を実施する計画である。一方、これまでの研究蓄積を活かし、アジア地域における自動車産業のロジスティクス体制について体系的研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
今年度海外旅費を5名分計上していたが、本人や親族の健康上の理由で予定をキャンセルせざるをえないものが3名生じた。このため、3名分の海外旅費や関連する経費が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、ASEAN等アジア地域での実態調査に使用する計画である。
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