2019 Fiscal Year Annual Research Report
Place Branding Trough Gastronomy and Local Food
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16K03958
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
高橋 広行 同志社大学, 商学部, 教授 (00580325)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地域ブランディング / サンセバスチャン / 美食 / 農業 / 1次産業 / 3次産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
2本目の論文「バスク地方の『美食の都』:サン・セバスチャンを支える地域政策・活動」(『同志社商学』同志社大学商学会,髙橋広行,第71巻第1号(2019年6月号),177-195頁)を刊行した。 この論文は,1本目の「美食を通じた地域ブランディングの事例研究:スペインバスク地方の「美食の都」:サン・セバスチャンの成功要因の解明」を補完するもので本論文の目的は,シェフが中心となり地域を美食の街へと変革してきた活動に対して,「行政や美食倶楽部,飲食組合などの組織が,どのように地域構造を支えてきたのか」といった点を明らかにした。 その方法は,再度,2017年8月末から9月上旬までの期間に,現地サン・セバスチャンへ赴き,インタビュー調査を重ねた。調査対象は,市役所(戦略政策室)ディレクター,観光局ゼネラルマネージャー,飲食組合ゼネラルマネージャー,美食倶楽部「ガステルビーゼ」現会長,一般市民(2名)などである。 本稿で明らかにした点は,以下の通りである。まず,シェフが美食をメディアに発信する場合,市役所や観光局が支援する際に,シェフとともに「地元の食材」を一緒にアピールし続けてきたこと,地域のバルやレストランも,飲食組合の支援をうけながら,地元産の食材であることをアピールする。これらの積み重ねが,今の美食文化イメージにつながっている。街を発展し続けてきた市役所の努力によって,交通のインフラ面だけでなく,文化的・研究面でも価値のある街として発展し,2016年には「欧州文化都市」にも選ばれ,観光の街としての魅力がさらに高まった。特に,料理研究大学としてのバスク・クリナリーセンターの設立は,研究面でも美食を発展させてきた。こういった地元の食材の価値を高める背景には,バスク政府が自治州であるということも関係する。 このように,様々な活動が折り重なって地域ブランディングが成功している。
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