2018 Fiscal Year Research-status Report
コーポレートガバナンス・コード関連情報開示による情報効果と企業行動への影響分析
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16K03992
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中條 祐介 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (40244503)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コーポレートガバナンス / 女性取締役 / 企業価値 / 財務会計 / 非財務情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度において実施した取り組みは、第1にコーポレートガバナンス・コード関連データベースのアップデートである。今年度の作業においては、平成30年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂により、5つの原則、3つの補充原則に加筆・修正がなされたことから、これらの変更点をデータベースにいかに取り込むかの検討を行った。これら改訂版の情報開示が出揃う平成30年12月末以降、データベースのアップデート作業に集中的に取り組んだ。 第2に、非財務情報の活用に関して、新規に公表された中期経営計画情報の収集とデータベース作成にも着手した。この成果として、①9割近い企業が中期経営計画を策定し、このうち6割を超える企業が外部に報告していること、②現状を起点として3年間の計画を立案する傾向が強いこと、③予算とリンクした計画策定が行われる傾向が強く、現行の予算規模を前提とした構想に陥りがちであることを指摘した。これらのことから、ビジネスモデルの大きな変化は期待できないことが想定され、それは投資情報としての有用性という面から課題を内包している点を指摘した。その一方で、ROE目標などの収益性、成長性に関する計画や、利益還元策の提示については、正の異常投資収益率をもたらす傾向があることを指摘した。 以上の分析を進める中で、そもそも会計がコーポレートガバナンスの改善に関し、どのような貢献をいかなるプロセスで果たしうるのかという点を課題認識し、この問題の解明に取り組んでいるところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに、平成27年末に開示されて以降のコーポレートガバナンス・コードに伴う開示情報の収集・整理を進めてきた。しかしながら、平成30年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂により、これまでのデータベースとの整合性を確保する点で試行錯誤に時間を要した。 また、この改訂コーポレートガバナンス・コードの影響を考察対象に含めることが研究遂行上、有益であることとから研究の精緻化にあたりたいと考えたので延長申請を行った。 さらに、本務校での担当職に付随する業務量の増加により、平成30年度に予定していた研究時間の確保が難しくなり、当初計画の遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間延長申請が認められたことにより、2019年度が研究最終年度となる。今年度に実施する事項は、①作成したデータベースを活用した分析、②コーポレートガバナンス改革と財務会計の役割、についてまとめることである。 ①については、わが国企業のコーポレートガバナンスの平均像を明らかにするとともに、ベストプラクティスの事例を整理したい。 ②については、利害調整という財務会計の機能が、今日のガバナンス改革の中でどのような役割を果たしうるのか、また情報提供という面から財務会計の提供しうる機能は何かという点を考察する。
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Causes of Carryover |
本務校での担当職に付随する業務量の増加により、当初計画の遅延が生じたことが主要因の一つです。 また、2018年6月に実施されたコーポレートガバナンス・コードの改訂の影響を考察対象に含めることが研究遂行上、有益であると判断したため、この調査に必要な通信費や交通費の使用を2019年度に繰り越す判断をしました。 今年度において、研究計画の工程を再整理し、研究課題の達成に向けて計画的かつ適正な執行に努めます。
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