2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03994
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
梅澤 俊浩 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (60350360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 崇 武蔵大学, 経済学部, 教授 (00367129)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メインバンク / 保守主義 / 業績予想 / 利益の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、メインバンク関係が、顧客企業の (α) 裁量的発生項目、(β) 業績予想達成、(γ) 保守的な会計慣行のそれぞれに及ぼす影響を実証分析し、3つの論文を執筆することである。平成28年の計画は、(1) 文献サーベイ (重点期間: 平成28 年4 月~7 月)、(2) データベースの構築とプログラムの作成 (平成28 年4 月~7 月)、(3) リサーチデザインの基本設計と分析用プログラミングの作成 (平成28 年4 月~10 月)、(4) 実証分析と論文執筆 (平成28 年11 月~平成29 年6 月) であった。 まず、(1) 文献サーベイについては、計画通りに実行し、論文執筆ための材料となる文章を作成済みである。次に、(2) データベースの構築とプログラムの作成のうち、データベースについては、『メインバンクデータベース』の構築は完了した。また、計画通りに、『日経NEEDS<会社発表業績予想データ>』、『日経NEEDS<役員データ>』、『日経NEEDS<大株主情報 上位30社>』および『金融データソリューションズ<日本上場株式リターン>』を購入した。データベースの読み取りプログラムについても作成済みであり、そのプログラムを使って、購入したデータベースの加工を行い、当初計画どおりのデータベースを完成させた。さらに、(3) リサーチデザインの基本設計と分析用プログラミングの作成のうち、リサーチデザインについては、上記のサーベイ結果を踏まえ、 (α) (β) (γ)のそれぞれのリサーチデザインの基本設計は完了している。分析用プログラミングについても完成済みであり、それを使って、(4) 実証分析と論文執筆を開始している。また、海老原が、日本ディスクロージャー研究学会第14回研究大会にて、研究成果の一部を報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初に使用を予定していたデータを使った場合には、分析に必須のメインバンクの所有比率の測定を正確にできない可能性が浮上した。その点を明らかにするために追加分析を行ったため、計画にやや遅れが生じている。 平成28年の計画の (4) 実証分析と論文執筆では、平成28 年11 月から平成29 年3月までの期間に、メインバンク関係が、顧客企業の (α) 裁量的発生項目、(β) 業績予想達成、(γ) 保守的な会計慣行のそれぞれに及ぼす影響の実証分析を完了させる予定であった。しかし、日本ディスクロージャー研究学会のワークショップで行われた講演と、その後に、その報告者と行ったミーティングを通じて、『日経NEEDS<大株主情報 上位30社>』と『東洋経済新報社<大株主データ>』の収録データがかなり異なることが判明した。そのことから、『日経NEEDS<大株主情報 上位30社>』だけでは、メインバンクの所有比率の測定を正確に行えない可能性が浮上した。そのため、実証分析と論文執筆をいったん中断して、両データの比較を行うこととした。 我々は2002年の『東洋経済新報社<大株主データ>』が手元になかったので、その期間を除いて、両データの比較を行った。その結果、その不完全な比較をもってしても、メインバンクの所有比率をより正確に測定するためには、『東洋経済新報社<大株主データ>』が必須であることが確認された。しかし、論文のために『東洋経済新報社<大株主データ>』を使用するためには、2002年のデータの使用料金を支払い、さらに、その他の期間についても使用料金を追加で支払う必要があったものの、平成28年度予算の残額ではその金額を賄うことはできなかった。そこで、それらの料金は平成29年度予算で賄うこととした。こうした理由から、計画に比べ、実証分析と論文執筆の進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では、平成29 年6 月までに実証分析と論文執筆を完了し、それ以降は国内外の学会等で報告を行う予定であった。しかし、既述のように、平成28年度には、『東洋経済新報社<大株主データ>』の使用料金を支払うだけの予算が残っていなかったため、現在も実証分析と論文執筆は中断したまままとなっている。そのため、平成29年度は、まず、『東洋経済新報社<大株主データ>』の使用料金を支払って、より精度の高いメインバンクの所有比率データを完成させる。そのうえで、平成29年度内に、実証分析と論文執筆を完了させてから、研究会等で報告を行う。 平成28年度に行った『日経NEEDS<大株主情報 上位30社>』と『東洋経済新報社<大株主データ>』の収録データの比較から、本研究は、『東洋経済新報社<大株主データ>』を主として、『日経NEEDS<大株主情報 上位30社>』で補完するほうが望ましいとの結論を得ている。そこで、まず、『東洋経済新報社<大株主データ>』の使用料金を支払った後、作成済みのプログラムを使って、『東洋経済新報社<大株主データ>』に基づいて、メインバンクの所有比率を測定する。次いで、データの欠損分と『日経NEEDS<大株主情報 上位30社>』を対応させて、『日経NEEDS<大株主情報 上位30社>』でその欠損を補完することが可能であるかを一つ一つ目視にてチェックする。この作業は、6月中には完了させる。 これに伴い、実証分析と論文執筆を平成29 年6 月までに完了する計画を、遅くとも平成29 年12 月までに完了する計画へと変更する。論文完成後は、海老原はメンバーとなっている早稲田大学会計研究所の研究会で、梅澤はメンバーとなっている九州ファイナンス研究会で報告を行う。研究会でのコメントを論文に反映させて、論文の質をより高める予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は大きく2つある。第一に、海老原が第二子を授かったため、育児の関係上、1度、四半期ミーティングの開催を中止したためである。第二に、既述のように、『東洋経済新報社<大株主データ>』と『日経NEEDS<大株主情報 上位30社>』の比較検討を行っため、いったん実証分析と論文執筆を中断した。このため、もう1度、四半期ミーティングの開催を中止した。こうした四半期ミーティングの中止のため、計画通りに、「旅費」を使用しなかった。さらに、実証分析と論文執筆の中断のため、計画通りに、「人件費・謝金」と「その他」の予算を使用しなかったために、次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既述のように、平成29年度は、『東洋経済新報社 <大株主データ>』の使用料金を支払う。分析対象の1992年から2014年までのうち、2002年以外の年のデータは過去に契約済みであったため、2002年データの使用料金のみを支払うだけで済むと考えていた。しかし、東洋経済新報社に問い合わせたところ、2002年以外の年のデータについても追加の使用料金を支払う必要があることが判明した。そのため、次年度使用額だけではその総額を賄うことはできない。そこで、2002年データの使用料金は、基本的に、梅澤が本務校から支給されている研究費で支払う。そして、それ以外の年のデータの使用料金は、次年度使用額と平成29年度予算で賄う予定である。当初の計画からすると、想定外の支出であるが、このデータは本プロジェクトを全うするためには欠かせないデータである。そのため、次年度使用額をこのデータの使用料金に充てることとする。
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Research Products
(1 results)