2016 Fiscal Year Research-status Report
「新しい働き方」の検証と「新しい労働社会」の展望-クラフトを生業にする人たち
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16K04060
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
伊原 亮司 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (60377695)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 働き方 / 新しい働き方 / クラフト / 労働と消費 |
Outline of Annual Research Achievements |
旧来の雇用慣行が崩れ、働き方の多様化が進んでいる。周知のように、非正規雇用が増加し、一つの会社に定年退職まで働くことが「普通」ではなくなった。このような変化に対して、働き方の可能性が広がるとして肯定的に捉える者もいれば、賃金格差や経済格差が広がるとして否定的に評価する者もいるが、いずれにせよ、働き方の「多様化」といった場合には、大方、雇用形態に限って議論されてきたのである。 しかし、現在進行している多様な働き方とは雇用に限定されない。同じく正規社員の中にあっても、雇われ先にはさほど期待せず、安定収入を確保した上で、小遣い稼ぎをする者や趣味や家庭を優先する者もいる。非正規雇用に関しては、それこそ無数な働き方がある。正社員になりたくてもなれない人、複数の働き先を掛け持ちしている人、起業や独立などの夢をみている人、多くの時間を労働に割かれることを嫌う人、本当は正社員として働きたいが体や心がついていかない人などがいる。さらには、働いていない者であっても、働くことに対する価値観は多様である。本当は働きたいが、働けない者もいれば、当初はそうであったが、徐々に働かなくても生活していける術を身につけていった者もいる。 つまり、働き方の多様化とは、労働観や勤労観の多様化を抜きにしては語れないことが分かった。 むろん、雇用問題=賃金の問題がなくなったわけではない。現実問題として、お金の問題は切実である。したがって、経済環境を踏まえつつ、個々人はいかに自らが欲する働き方を「ストーリー化」して実現しているのか、あるいは挫折・妥協・修正しているのか、という込み入った点を明らかにしてはじめて、働き方の多様化の「実態」がみえてくるわけである。この点を明らかにすることが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、働き方の「多様化」を統計的におよびケーススタディから整理することが課題であった。おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
新しい働き方および消費の仕方として、クラフトに焦点をあてる。クラフトの活動に従事している人たちを調査する。
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Causes of Carryover |
ごく少額であるが、端数を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に速やかに使用する。
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