2017 Fiscal Year Research-status Report
第4次石炭政策下での閉山離職者家族のライフコース:釧路炭田史再編にむけた追跡研究
Project/Area Number |
16K04111
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
嶋崎 尚子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40216049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑山 直子 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (10732688)
木村 至聖 甲南女子大学, 人間科学部, 准教授 (50611224)
新藤 慶 群馬大学, 教育学部, 准教授 (80455047)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 尺別炭砿 / 炭鉱離職者 / ライフコース転換 / 閉山と子どもたち / 炭鉱社会の記憶 / 尺別原野と炭鉱 / 再就職と移住 / 尺炭教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、政策上の大転換となった第4次石炭政策下で、「企業ぐるみ閉山」した尺別炭砿閉山離職者と家族の追跡調査をとおして、①尺別炭砿離職者の再就職過程とその後のライフコース転換、②閉山が炭鉱離職者と家族に及ぼした短期的・長期的影響、③炭鉱離職者・家族の「炭鉱社会の記憶」の記録を明らかにすることを目的としている。2017年度には、前年度からの3調査(以下①~③)を継続し、さらに2調査(④、⑤)に着手した。 ①「尺別炭砿で暮らした人びと調査」:2016年度調査報告書を刊行し(5月)、尺炭中学校同期会(20期、21期)経由で追加調査を実施した。さらに、ヤマの暮らし(階層、友子等共済システム、戦後の復興、引揚げ者、炭鉱病院、女性労働など)に関する詳細なヒアリング(8名)を実施した。 ②「尺別原野と尺別炭砿」調査:閉山後の尺別原野の発展に焦点をあて、座談会形式のヒアリング(9月1日、4名出席)、中心人物への生活史インタビュー(3月)を実施した。 ③「尺別炭砿の教育」調査:元教員4名(雄別小を含む)へのヒアリングを実施した。「尺炭教育」に関する文書資料等をもとに、教育実践内容の確認、北海道教育史上での位置づけ作業を進めている。 ④閉山と再就職・移住:閉山前後の対応を元職員、元労組幹部へのヒアリング(2名)から詳細を確認した。さらに、最遠の福山市に集団移住した26家族(68名)に着目し、移住とその後の定着に関する事例調査を開始した。中心人物へのヒアリング(7月、1月)と移住家族への座談会(1月、3月)ならびに受入れ企業・炭鉱離職者移住に関する文書資料調査を実施した。 ⑤閉山と子どもたち:閉山を中学生で経験した子どもたちを対象にした座談会を、釧路(8月、11名)と東京(9月、14名)で開催した。閉山後の移動、学校生活と閉山の影響、尺別炭砿の記憶と絆の3点で記録化し、刊行予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前述のとおり④ならびに⑤については、2016年度の調査過程を踏まえての展開である。この2点を加わえたことで、本研究目的3点への接近がより立体的に深化したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたり、5つの調査ごとに補充調査を実施した上で、以下の研究成果(リサーチ・ペーパー)をとりまとめる。①追加調査を含めた「尺別炭砿で暮らした人びと調査最終報告書」ならびに「尺別の暮らし」の聞き取り集を刊行(2018年度末)、②「尺別原野と尺別炭砿」の刊行(2018年度末)、③「尺炭教育史」の刊行(6月)、④福山座談会記録集の作成と刊行(7月)、⑤「中学生からみた尺別炭砿の学校生活と閉山の影響」(5月) そのうえで、学術書を2019年度に執筆、2020年度刊行の予定である。
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Research Products
(1 results)