2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K04127
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
五十川 飛暁 四天王寺大学, 人文社会学部, 講師 (00508351)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | コモンズ / 生活意識 / 地域空間の重層性 / 地域空間の可変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、コモンズ空間とかかわってきた人びとの空間とのつきあい方の検討をもとにして、地域社会の空間管理についてあらたなヒントを提出することを目的としている。本年は研究期間の2年目となるが、採択時期の関係上、研究の開始時期が通常にくらべて遅くなった。そのため、基本的には初年度にひきつづき、情報の集積に比重をおいて研究を進めてきた。コモンズ空間といえば一般的には共有地や共同利用および管理のための仕組みがしっかりと存在する空間を指すことが多い。だが、なんらかの共同の管理が必要な空間ということでいうと、そのような空間はこれからますます増加していくことが予想される。そこで、とくに地域コミュニティ内のアンダーユースな空間に着目し、コモンズ論的な観点からの把握を試みた。具体的には、ひとつにはアンダーユースな空間の共時的な把握として、いくつかの事例地から、住民たちによって現在、地域コミュニティ内のどの空間がアンダーユースな状態と理解されているか、また、それらの空間とどのようなかかわりをもとうとしているのかについて確認する作業を進めた。他方、アンダーユースな空間の通時的な理解として、特定の地域空間について現在の利用のあり方がどのように成立したのかを歴史的経緯から検討した。これは本研究期間以前からの継続的な調査をもとにしたものであるが、昨年度にひきつづいて、さらなる分析と文章化を進めた。近く公表の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
聞き取りや参与観察による質的データの蓄積、および文献収集、ともにおおむね順調に進めることができた。また、本研究テーマにもとづく成果のひとつも作成を進めてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、本年度に収集したデータをより充実させつつ、さらに踏みこんだ検討をおこなうことを目指していく。具体的には、コモンズ関連の研究に加えて、本研究の基本的方法論である経験的な生活論をめぐる論考についても整理と検討を進め、自らの分析視角をさらに明確にしていくことを試みる。また、事例地におけるフィールドワークについては、前年度までに重視してきた事実レベルの事象の把握は継続しつつ、それに加えて、人びとが本研究の対象とどのような心持ちで向きあっているのかという心象レベルにも調査を展開させることを志向しつつ、資料収集や聞き取り、参与観察を進めていく。加えて、情報収集とサジェスションを得る機会として、ひきつづき、関連する学会や研究会にも積極的に参加していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、採択時期の関係上、初年度の研究期間が限られたものになったことの影響による。他方、次年度の使用計画としては、前年度にひきつづき継続的にフィールドワークにおもむく予定である。また、研究課題に関連した学会や研究会には積極的に参加し、情報収集に努める。それゆえ、支出の内訳としては旅費の割合が高くなることを想定している。加えて、関連する文献や資料、およびフィールドワークに必要となる物品の購入を考えているため、物品費にもある程度の金額を使用する予定である。
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