2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K04127
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Research Institution | Shitennoji University |
Principal Investigator |
五十川 飛暁 四天王寺大学, 人文社会学部, 講師 (00508351)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2022-03-31
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Keywords | コモンズ / 生活意識 / 地域空間の重層性 / 地域空間の可変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、コモンズ空間とかかわってきた人びとの空間とのつきあい方の検討をもとにして、地域社会の空間管理にあらたなヒントを提出することを目的としている。本研究の採択時期の関係上、期間を延長した5年目となる本年は、コモンズ空間について差配をおこなう現場の人びとの考え方にポイントをおいた調査を進展させる予定であった。ただ、新型コロナウイルス感染症をめぐる社会的影響によって事例地での新たな調査が難しい状態がつづいたため、これまで収集してきたデータを整序する作業を中心に研究を進めた。とくに、浜辺の利用をめぐってオーバーユースな状態を生みだしてきたコモンズ空間の事例について、公・共・私のありかたから、集積してきたデータの整理と分析をおこなった。当該浜辺はながく地元の人びとにとって共同で利用されてきた空間であったが、近年の観光開発によって外部に開かれた結果として公の色彩が強くなり、しかも業者や地元の人びとの一部が営利目的で店舗をかまえるなど私的な要素も増大、その結果として、公・共・私がせめぎあう葛藤状態に陥った。事例地ではそれに対し地元組織が管理組合を結成するかたちで一元的な管理を担うことになったのだが、意外にも、その実践は必ずしも地元の人びとの評価につながっていない。そのズレこそが、地域社会の空間管理を考えるうえでのひとつのポイントになると判断するにいたった。今後の補足的調査のうえにその内実を検討しつつ、文章化と公表をおこなう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまでに収集したデータの整序を進めたものの、新型コロナウイルス感染症をめぐる社会的影響で新たな調査等ができず、次年度使用額が残ることになった。補助事業期間を延長することで、その分の対応を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまで収集してきたデータについての補足的な追加を進めつつ、あらためて、踏みこんだ検討を進めていきたい。具体的には、これまでと同様に文献資料の収集と整理を進めながら、自身の分析視角をさらに明確にしていく作業を進める。また、情報収集と助言を得る機会として、関連する学会や研究会にも継続的に参加する。他方、事例地におけるフィールドワークについて、現場の人びとの判断や考え方というところにポイントをおいた心象レベルの調査を実施する。そのうえで、これまでに得てきたデータをまとめつつ、事例間の比較等の検討を進めながら、生活の論理をふまえた地域空間の管理論としての一般化を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、新型コロナウイルス感染症の社会的影響により、予定していた調査等が実施できなかったことによる。次年度の使用計画としては、まずは事例地でのフィールドワークを再開、実施する予定である。とともに、研究課題に関連した学会や研究会に参加し、情報収集に努める。また、関連する文献や資料、フィールドワークに必要となる物品、これまでの資料をまとめるための機器の購入を検討している。以上の旅費や物品費として使用する予定である。
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