2016 Fiscal Year Research-status Report
人口減少時代の地方都市・中山間地域の多文化化と地域振興に関する社会学的研究
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16K04130
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Research Institution | St. Catherine University |
Principal Investigator |
徳田 剛 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 教授 (60346286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二階堂 裕子 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (30382005)
魁生 由美子 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (70331858)
田村 周一 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 講師 (50467643)
大黒屋 貴稔 聖カタリナ大学, 人間健康福祉学部, 講師 (00386575)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多文化共生 / 滞日外国人 / 人口減少社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においては、地方都市・中山間地域における外国人住民の現況の把握、およびそこでの結節点となりうるカトリック教会、地域の日本語教室、民族学校の活動状況等について複数地域における事例研究、二次文献資料の収集と分析等を行った。それらの作業を通じて得られた知見および研究成果については、研究代表者および研究分担者の所属学会・研究会等において研究発表を行った。本年度より新たに着手した、中山間地域在住外国人の医療・福祉等セーフティネット、および地方在住の外国人留学生のライフコースの2課題については、先行研究の収集と分析、調査対象地・調査協力者の選定など、実査に向けた準備作業を行った。 また、研究成果の共有および公開・社会発信の場として「移住と共生」研究会を2度開催した。第1回研究会(2016年9月、愛媛県松山市)では、本共同研究の趣旨説明を行ったのち、愛媛県国際交流協会と宮城県国際化協会からそれぞれの団体の活動内容および課題についての報告をしていただいた。とりわけ宮城県の事例からは、東日本大震災後の被災外国人の安否確認や支援活動についての課題やノウハウについての報告があり、参加者間で問題意識と知見の共有を図ることができた。第2回研究会(2017年3月、岡山県岡山市)では、有識者より在日フィリピン人の現況についての講演をいただいた。ここでは、在留期間が長いフィリピン人女性の高齢化の問題と、新日系フィリピン人と呼ばれる、新たな在留資格で来日する人々の増加がもたらす諸課題について、情報と知見を共有できた。 以上のような取り組みを通じて、本研究課題に関する先行研究や取り組み事例の情報を蓄積し、平成29年度の課題である地方在住の外国人(結婚移住者、技能実習生、在日コリアン、留学生等)についての地域間比較を進めていくための素地を構築することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度においては、研究代表者および研究分担者がそれぞれのテーマに関する先行研究・資料等の収集と分析、調査対象地域における研究協力者や助言者、本研究課題に詳しい学識経験者や活動従事者等との関係構築、(次年度の課題となる)各テーマの比較対象地域に関する情報収集、研究メンバー間での研究成果の共有、および一般市民・社会に対する情報発信などを行うことができ、研究計画に沿った形でおおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究では、すでに研究がある程度進んでいるカトリック教会、地域の日本語教室、民族学校については、他地方の事例との比較を念頭に置きながら、知見の一般化に向けて引き続き情報収集と分析を続けていく。中山間地域在住外国人の医療・福祉等セーフティネットの研究と、地方在住の外国人留学生のライフコースの研究については、研究拠点を置く愛媛県内を中心に、情報提供者の開拓と実査を進めていく。 得られた研究成果の発信については、本年度も研究代表者・研究分担者の所属する学会・研究会等での研究発表や紀要論文などの公刊を積極的に行う。また、市民向けの公開イベントとして「移住と共生」研究会を本年度も2回開催する予定であり(いずれも愛媛県松山市)、有識者を招いての講演会と四国朝鮮学校でのスタディツアーを実施する。
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Causes of Carryover |
本研究の課題のうち、「中山間地域在住外国人の医療・福祉等セーフティネット」および「地方在住の外国人留学生のライフコース」に関する研究については今年度より新たに着手したものであり、先行研究や資料の分析、調査協力者等の探索・確保に当初の想定以上に時間を要したため、平成28年度中の予備調査の実施に至らなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記2課題に関する調査研究の実施に係る諸経費(物品費、旅費、謝金等)に充当する予定である。
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