2016 Fiscal Year Research-status Report
リカバリーを促進する精神保健専門職の態度とエンパワメントに関する研究
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16K04144
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Research Institution | Kansai University of Health Sciences |
Principal Investigator |
岩井 和子 関西医療大学, 新学科設置準備室, 室長 (80367870)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エンパワメント / 精神保健 / 専門職 |
Outline of Annual Research Achievements |
リカバリーを促進する精神保健専門職の態度とエンパワメントに関する研究;途中経過 精神科援助職員におけるエンパワメントとその要因について検討することを目的にPubMed,EBSCO, Google Scholarをデータベースに、過去20 年間(1997-2016、7 月)について文献検索を行い「多職種協働」、良好な「チームワーク機能」と「雰囲気」などの外的要因、また個人の「自己評価や自信」、「技術知識の向上」、「職務満足」といった内的要因がエンパワメントに関連すること、「リーダーシップ」や「意思決定」などの実践プロセス要因が影響を与えることが示唆された. 質的調査として個人精神科クリニック職員(医師1名、保健師2名、作業療法士2名、ソーシャルワーカー2名、管理栄養士1名)への半構造化面接を実施した.結果からはエンパワメントに関連すると思われる「組織上層部への信頼」「協力体制への信頼」「自由裁量の大きさ」「十分な情報公開」「対象者の回復」「協働の感覚」「ネットワーク作り」といった要因が抽出された.また、今回面接に応じた職員は総じて困難はあっても現状の自身の職務への意欲や満足を表明していた.調査対象としたクリニックは、入院病床持たず、外来診療およびデイケア、就労支援事業所(B型、就労移行)、グループホームをもち、“リカバリー志向”に基づいたリハビリテーションを主軸においた医療機関であり、比較的新しく若い組織であった.文献検討および調査の結果を概観すると、エンパワメントには、関連する個人的因子と外的因子、そしてまた、個人-外因との関係性因子の3領域の要因が影響しあってと考えられる.今後は、この3領域を意識した調査を行っていく必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年に職場異動をしたために、研究開始が遅れたためである.以下が進捗状況である 2016年4~9月、主にエンパワメントの定義また、エンパワメントに関連する要因、測定尺度についての国内外の文献検討をおこなった.40文献以上を読了したが、システマティックレビュウ、引用文献等から、特に重要であるもの、10件についてまとめ、文献研究としてまとめた。(第24回日本精神障害者リハビリテーション学会にてポスター発表)この間、主研究者の所属異動に伴って、現大学での倫理審査委員会での承認手続きを行い認められた. 2016年10~2月、質的研究調査対象事業所への調査依頼を依頼、調整中である.(埼玉県;多機能型支援事業所、就労支援B型事業所、千葉県;個人クリニック、長野県および愛知県;精神科医療機関)このうち、千葉県の個人クリニックでの半構造化面接調査を終了し(職員8名に対して)、現在質的分析進行中である.また、他機関については、調査日程等についての打ち合わせ中である.
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 2017年3~7月:愛知県、長野県、埼玉県、東京都、大阪・京都府の支援機関職員(医療機関/地域支援施設)に対するエンパワメント要因に関する質的調査を実施する.8~11月:質的調査分析に拠るエンパワメント要因の特定と「精神保健専門職エンパワメント尺度(仮称)」の作成する.12~2018年2月:「精神保健専門職エンパワメント尺度(仮称)」の信頼性妥当性検討を行う(医療機関/地域支援施設職員50名以上を対象とした郵送調査).2018年3~4月:「精神保健専門職エンパワメント尺度」の整備および完成 5~9月:「精神障害者に対する肯定的態度尺度」「組織風土尺度」「Working Environment Scale」「The Recovery Knowledge Inventory」を用いた郵送調査(医療機関/地域支援施設650名以上を対象)を行う, 10~2019年1月:量的統計的分析により、精神保健専門職のエンパワメントと精神障害をもつ人への態度、また、環境要因との関連を明らかにする. 2~3月:結果のまとめと報告書作成する.
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Causes of Carryover |
2017年度に調査予定であったが、未実施に終わった、愛知県、長野県、埼玉県、東京都、大阪・京都府における調査を実施するためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費分=167,796円(28年度に実施できなかった質的調査費用充当分)/100,000円(29年度に予定の質問紙による尺度作成のための調査依頼と打ち合わせ費用)/100,000円(学会参加費等)/100,000円(テープ起し等人件)/50,000(郵送料)/50,000円(調査用紙および印刷費用)
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Research Products
(1 results)