2017 Fiscal Year Research-status Report
介護従事者による高齢者虐待防止に関する研究‐参加型学習による教育プログラム開発‐
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16K04245
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Research Institution | Chubu Gakuin College |
Principal Investigator |
横山 さつき 中部学院大学短期大学部, 社会福祉学科, 教授 (90413236)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者虐待 / 不適切ケア / 介護従事者 / ストレスマネジメント教育プログラム / コーピングスキル / ソーシャルスキル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでは多様で複合的な介護従事者による高齢者虐待を含む不適切ケアの発生要因が指摘されてきた。しかし、平成28年度に実施した調査によって、介護従事者のストレスへの対応が最も重要であることが明らかとなった。 そのため、調査によって得られた所見を基に具体的介入法を6名の研究協力者(介護福祉士資格や社会福祉士資格等を持つ介護教員2名、介護従事者として就業している介護福祉士2名、第三者評価委員、保健師・看護師・精神保健福祉士等の職歴のある家族介護者)とともに検討した結果、対象・場面に応じた多様なコーピングスキルやソーシャルスキルの修得をねらいとする「介護従事者のための高齢者虐待・不適切ケア防止教育プログラム」を考案するに至った。 考案した教育プログラムに従って、岐阜県下で4回3タイプの研修会(①2017年8月5日(土)開催の岐阜県介護福祉士会「介護福祉士ファーストステップ研修」の参加者9名を対象とした6時間の研修会、②2017年9月29日(金)開催の岐阜県老人福祉施設協議会岐阜県支部介護士部会の会員44名を対象とした2時間の研修会、③2017年9月13日(水)開催の岐阜県各務原市介護保険サービス事業者協議会施設サービス事業所部会の会員26名を対象とした90分間の研修会、④2017年10月11日(水)開催の③の参加者を対象とした90分間の研修会)を実施し、その前後において教育プログラムを評価するための質問紙調査を実施した。 その評価結果を踏まえ6名の研究協力者とともに教育プログラムの改良を図り、教材開発(テキストの作成)をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
6名の研究協力者を得ることができ、「中部学院大学短期大学部介護福祉実践研究会」を立ち上げ、2~3か月ごとに研究会を開催している。その研究会での検討によって高齢者虐待を含む不適切ケアの防止をねらいとした研修会(参加型学習会)を4回開催することができた。 その4回の研修会への参加者を対象とした質問紙調査の結果を基に研修会の評価を行い、「介護従事者のための高齢者虐待・不適切ケア防止教育プログラム」の改良を図った。加えて、教材開発(テキストの作成)を行うことができた。 他方、2017年4月に平成28年度の研究成果を原著論文としてまとめ、「日本老年社会科学会誌」に投稿したが、再査読の段階で第三査読者による査読が行われた結果、掲載に至らなかった。そのため、研究成果の公表の点で滞りがある。 しかし、研究成果の公表に向け検討を重ね、2017年9月末に「日本介護福祉学会誌」に原著論文として投稿し「修正後再査読」の結果通知を受けた。2018年4月16日締め切りで査読後の修正原稿を提出し、現在再査読結果を待っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究自体は順調に計画に沿って実施できており、遂行上の課題はない。そのため、当初の計画の通り研究を進める。ただし、平成30年度において、改良した「介護従事者のための高齢者虐待・不適切ケア防止教育プログラム」の有効性を的確に評価するためには、対象施設の選定及びインフォームドコンセントの際の仲介者が必要である。そため、仲介者として適任である研究協力者1名(岐阜県各務原市地域包括支援センター主任ケアマネージャー)を増員する。 他方、研究成果の発表の点で滞りがみられる。そのため、平成28年度の研究成果を「日本介護福祉学会誌」で原著論文として発表できなかった場合は、さらに論文の加筆修正を行い、介護福祉教育学会や人間福祉学会等の別の学会誌への投稿を行う。 また、平成29年度に高齢者虐待を含む不適切ケアの防止をねらいとして実施した4回の研修会(参加型学習会)の評価を行うために実施した質問紙調査の結果及びその結果に基づいて改良を図った「介護従事者のための高齢者虐待・不適切ケア防止教育プログラム」の内容と作成過程等を研究論文にまとめ、学会発表を経て学術誌への投稿をする。 さらに、開発した教材(テキスト)の改良をし、書籍として出版に至るよう努める。
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Causes of Carryover |
(理由) 計画的に支出したものの、交付決定額をオーバーしないように調整したことによって531円の未使用額が生じた。 (使用計画) 未使用の531円を平成30年度の消耗品費(物品費)に加える。
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Remarks |
①開発テキスト:横山さつき(研究代表者、筆頭執筆者)ほか:養介護施設従事者等による高齢者虐待防止;尊厳あるケアをめざして.1-38,中部学院大学短期大学部介護福祉実践研究会(2018年3月) ②2017年度中部学院大学大学院人間福祉学研究科人間福祉学専攻博士(社会福祉学)学位論文:横山さつき(研究代表者):高齢者介護職の養成教育に関する研究;不適切ケア防止の観点から.1-196(2017年12月)
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