2016 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症前駆期における自我障害の病態解明と早期診断への応用
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16K04349
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
西山 志満子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 研究員 (70649582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 道雄 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (40236013)
高柳 陽一郎 富山大学, 附属病院, 講師 (40574942)
高橋 努 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (60345577)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 自我障害 / MMPI / Ultra High Risk / 初回エピソード統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
【自我障害尺度の作成および信頼性・妥当性の検証】 176例の統合失調症および170例の健常対照群のMinnesota Multiphasic Personality Inventory(MMPI)のデータを用いて自我障害尺度を開発し,その信頼性・妥当性を検証した。 ICD-10で統合失調症と診断された患者群と,年齢,性別をマッチングさせた健常群におけるMMPIの550項目の回答頻度をχ2検定で比較した.本研究ではサンプルサイズによって変化することのない,標準化された指標である効果量を用いて有意水準を決め,有意差の認められた項目について,Schneiderの一級症状(FRS)に含まれる自我障害の有無により分類された自我障害患者群と非自我障害患者群の回答頻度をχ2検定にて比較し,有意差を示した項目を,自我障害尺度を構成する項目とした。 尺度の信頼性にはクロンバックのα係数を用いて項目間の内的一貫性を検討した.項目作成で用いられた群とは別の統合失調症患者群における自我障害尺度の得点とFRSの得点およびScale for Assessment of Positive Symptoms (SAPS)の自我障害得点との相関を調べ,収束的妥当性を検討した.また自我障害尺度の得点と,SAPSの他の陽性症状の得点およびScale for Assessment of Negative Symptoms (SANS)の陰性症状得点との相関から識別的妥当性を調べ、高い信頼性・妥当性を認めた。 【データ収集】 病期の進行と自我障害の程度を調べるために、Ultra High Risk (UHR) 51例、初回エピソード統合失調症 53例、慢性統合失調症 28例のMMPI, 臨床データ、MRIデータを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自我障害尺度を作成し、その信頼性・妥当性を検証することができた。またUHR,初回エピソード統合失調症のMMPI, 臨床データ、MRIデータの収集は、目標値を上回った。自我障害尺度とMRIデータによる相関解析は平成28年度中に終わらなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
SPM (Statistical Parametric Mapping; SPM) 12を用いて,統合失調症患者群と健常群の脳形態を比較するとともに,自我障害尺度得点とMRIデータのvoxel-based morphometry (VBM)相関解析により,前頭前皮質における脳形態学的変化が自我障害の症状形成に関連があるか否かを検討する.また他の臨床指標(撮像時の臨床症状,社会機能など)との関連も調べる. UHR群,顕在発症から1.5年未満の初回エピソード統合失調症群,慢性統合失調症群および健常対照群のデータを用いて,病期の進行と自我障害の程度,脳形態学的変化及び他の臨床指標(臨床症状,社会機能など)との関連を横断的に検討する.MRIについてはT1強調画像のVBM, Freesurferによる局所脳体積と皮質厚の自動解析,用手的な関心領域(ROI)を行う. 自我障害尺度の得点をUHR群と健常対照群,次いでUHRの発症群と非発症群で比較する.MRIデータについても同様の群間比較を行う.さらにVBM,ROIなどにより自我障害と関連する脳形態学的変化の検討,他の臨床指標との関連も調べ,ベースラインにおける自我障害および関連する脳形態の特徴が,後の顕在発症をどの程度予測するかを調べ,臨床応用への有用性を検証する.
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Causes of Carryover |
データ入力の適任者がおらず、研究者がデータを整理したため、人件費がかからなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度の残額については、次年度の学会発表、論文発表にあてる。
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Research Products
(1 results)