2017 Fiscal Year Research-status Report
トラウマ筆記による心身健康・認知機能増進:身体心理・脳科学に基づく認知行動的接近
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16K04367
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐藤 健二 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 教授 (10318818)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トラウマ / 筆記 / マインドフルネス / 脱中心化 / 心理的健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
トラウマ筆記の効果の中核はマインドフルネスであり「“今ここ”での経験に評価することなく,注意を向けること」と定義され,その程度の高さは抑うつなどを下げるとされる。また,その効果は「脱中心化(思考や感情というものは,自分自身や現実を直接に反映したものではなく,心の中で生じた一時的な出来事と捉えること)」によって媒介されると考えられている。しかしながら,心理的ストレス反応全般また心理的健康(協調的幸福感など)に効果があるのか,また,脱中心化が媒介するのかは実証されていない。 そこで,第1に,マインドフルネス傾向,脱中心化,心理的ストレス反応(抑うつ感,易怒感,疲労感,身体不調感)の相関を検討したところ,マインドフルネス傾向が,直接的また脱中心化を媒介して,抑うつ感・易怒感・疲労感,身体不調感の低減に寄与していることが示された。また,マインドフルネス傾向と協調的幸福感には正の相関があることが示された。第2に,身体感覚に注意を向けるという点で,マインドフルネス訓練同様の手続きを有するが,中核は身体的リラクセーションと仮定される自律訓練法との比較を通じて,マインドフルネス訓練の作用機序を,また,待機統制群との比較を通じて,協調的幸福感への効果を検討した。マインドフルネス訓練群(MT群),自律訓練法群(AT群)について,心拍数,心理的ストレス反応への効果を検討した。その結果,心拍数についてはAT群においてのみ有意な低減が示され,抑うつ感・易怒感については,両群ともに低下を示していた。MT群と待機統制群とを協調的幸福感について比較したところ有意な交互作用は認められなかったが,効果量からはMT群の効果が示唆された。 以上より,マインドフルネスの作用機序としては身体的リラクセーションではなく脱中心化が中核的であり,抑うつ感および易怒感の低減および協調的幸福感への効果が示唆されたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体的には,おおよそ計画に即して進んでいる。筆記法の中核的要素の同定および,その心理的健康への効果への示唆が得られた。しかし,研究代表者は,所属学部における公認心理師養成計画ワーキンググループの長としての業務が多忙となった。そのため,研究計画の内,特に,脱中心化と関連する脳部位の活動を測定するのに必要な機器の選定と購入,及びマインドフルネスの要素を組み込んだ筆記の手続きの開発が遅れた。こうした点から,「やや遅れている」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当該分野の専門家へのヒアリングを遂行して,遅延している,脱中心化と関連する脳部位の活動を測定するのに必要な機器の選定と購入,マインドフルネスの要素を組み込んだ筆記の手続きの開発を行う。
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Causes of Carryover |
業務多忙につき,必要機器の選定・購入が遅れたことに伴い,当初の研究計画の推進の遅延が生じ,次年度使用額が生じた(理由)。 遅延していた必要機器の選定・購入について,専門家へのヒアリングを実施し,選定・購入を行い,研究計画を推進する(使用計画)。
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Research Products
(1 results)