2016 Fiscal Year Research-status Report
ロール・プレイを用いたカウンセリングコンピテンス教育プログラムの開発
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16K04374
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Research Institution | Sakushin Gakuin University |
Principal Investigator |
田所 摂寿 作新学院大学, 人間文化学部, 教授 (80616300)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カウンセラー教育 / カウンセリングコンピテンス / ロールプレイ / プログラム評価 / 教育内容 / ゲートキーピング |
Outline of Annual Research Achievements |
①「日本の大学におけるカウンセリング実習の内容に関する調査」として、日本臨床心理士資格認定協会認定の第 1 種指定校である大学院(150校)をもつ大学を対象として、学部の授業の「カウンセリング実習」およびこれに類似する講義のシラバス検索を行い、講義においてカウンセリングトレーニングとしてどのような内容が行われているのかについて web 検索による調査を行った。授業名や担当者の専門などの調査も行い、大学生を対象としたカウンセラー教育の実態を明らかにするとともに、今後の課題について展望した。これらの内容をまとめ論文を著し、日本カウンセリング学会の学術雑誌に投稿した。 ②カウンセラー教育における「ロール・プレイ」研修を行い(3泊4日合宿研修、8時間の短期研修)、ロール・プレイ研修における学びや自己変容についての感想カードを各セッションごとに記入してもらった。現在これらのデータの分析を行っているところである。しかしながらデータを入力作業に時間がかかっており、分析にまでたどり着いていない状態である。 ③学会発表として、日本カウンセリング学会第49回大会にて、ポスター発表2本(「カウンセラートレーニングプログラムの評価に関する研究Ⅰ―1年間のトレーニングによる変化―」、「カウンセラートレーニングプログラムの評価に関する研究Ⅱ―1年、2年、3年間のトレーニングによる変化―」、および自主シンポジウム1本「カウンセリングの質を高めるカウンセラー教育プログラム―“カウンセリングコンピテンス”の概念を考える―」の発表をおこなった。 ④本研究の中心概念である「カウンセリングコンピテンス」についてまとめ、作大論集に掲載された。さらには新たに見出された重要なテーマである「ゲートキーピング」についてまとめ、作新学院大学・作新学院大学女子短期大学部教職実践センター研究紀要に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた内容として、カウンセラー教育受講生に対するインタビュー調査については所々の事情に実施できなかった。同時にロールプレイ研修の受講生感想カードの分析も進んでいない状況にあり、それらの要因により当初の計画よりも遅れる状態となっている。また一方で本研究を行う上で新たな文献研究をまとめる必要があり、これらのまとめの作業に多くの時間が割かれたことも要因の一つである。しかしながらカウンセラー教育についての文献研究は展望論文としてまとめ、日本カウンセリング学会の学術誌に投稿した。 さらに大きな要因の一つが、データ処理等の事務作業を行うためのアルバイト人員を確保できていないことがある。作業としては感想カードから文字データに起こすという手間のかかる作業であり、効率的に作業が進んでいない状況にある。またデータの取り扱いについても情報管理の点から徹底する必要があり、この点について手順などを明確にし事務作業を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
第一にデータ分析を行い、学会発表の準備を進めると同時に、カウンセリングコンピテンス尺度の作成を行うことである。これは昨年度に予定されていた計画であり速やかに遂行することが求められる。このために情報管理の手順をまとめ、入力作業を行う人員を確保し計画を進めることが求められる。 第二に、文献研究を行うことによって新たな研究課題が出てきた。具体的にはカウンセラー教育におけるゲートキーピングの研究である。この研究内容の優先度は高く、本研究の目的を達成するためにも、早期に行う必要があると考えられる。このテーマに関する調査を行うための準備を進める必要がある。さらに文献研究を行うことによって本研究の目的達成のために必要な新たな研究テーマもいくつか見出されたため、これらの内容を整理し研究計画を再度構成し直す必要がある。
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Causes of Carryover |
当初予定していたインタビュー調査の謝礼およびデータ入力のための作業が進まなかったことにより、このことにより執行額が予定よりも少なかった。これが最大の要因である。これらに関連して物品費、打ち合わせのための旅費にも影響が及んだ。さらには参加予定だった学会へ体調不良に参加できないことも予算執行に影響が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ量がかなり多く、データを電子化する手続きに多くの手間と人員を必要とすることが明らかとなった。事務作業を行うものの事務能力も勘案して作業をするめる必要があることが認識された。これらの点については事務処理のためのシステムを構築し、着実にデータ入力を行う計画である。また関連する研究テーマが見出されてきたため、これらの研究のための費用としても使用していく予定である。
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