2016 Fiscal Year Research-status Report
社会的探究としての政治教育理論の構築─プラグマティズムの思想史的解釈を通して─
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16K04460
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| Research Institution | Nagoya University |
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Principal Investigator |
生澤 繁樹 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (70460623)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 社会的探究 / プラグマティズム / 政治教育 / ジョン・デューイ / デモクラシー |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は，現代アメリカ・プラグマティズムの思想史的解釈を通して，社会的探究（social inquiry）としての政治教育理論の展開可能性と課題について解明しようとするものである。この目的を果たすために，本研究ではとりわけ「科学的探究」や「思考の方法」といったプラグマティズムの哲学・倫理・論理学上の示唆に基づく「社会的探究」という視角から，現代の政治教育のあり方を問いなおし，その理論的基盤の解明と理論構築を試みる。シティズンシップ教育へと連続する今日の政治教育が直面する問題点や困難の諸相を現代的かつ実践的な観点からだけでなく思想史的にも再理解・再評価することによって，本研究は科学・道徳・政治の理解をともに結びなおし育むような新しい政治教育と実践のための理論的視座を明らかにする。
初年度である平成28 年度は思想史的な解釈をもとに20 世紀転換期から現代にいたるプラグマティズムの再評価と再理解を行ない，歴史的背景を踏まえて「社会的探究」の諸相を抽出し，その現代的意義を明らかにすることを試みた。第一に，これまでの申請者の研究成果に基づきながら思想史的解釈を踏まえた再評価の動向と諸成果を手がかりに，デューイのプラグマティズムの哲学・思想が政治理論と教育理論の両者が互いに交差し合うところでこそ読み解かれなければならないものであることを明らかにした。第二に，デューイの教育と政治の理論的基盤をかたちづくる哲学・思想上のプラグマティズムの形成と展開において，「探究」に基づく論理学上の考察が重要な鍵となっていたことを関連するテクストから明確にしようと考えた。こうした一連の検討を通じて本研究では，科学的探究や思考の方法の意義を説くプラグマティズムから「社会的探究」の諸相を抽出し，現代のプラグマティズムの問いの地平を踏まえてその意義を確認し検討する作業に取りかかった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のなかで当初予定していた研究計画は着実に進められ，学会・研究会での定期的な研究報告，論文・著書というかたちで成果も公表できている。また課題を遂行するなかから，さらに検討され解明されるべき問題も発見され，本研究の視野に収めることもできつつある。こうした研究成果の一部は学会や研究会での活動を通して広く発信することもできた。以上のことから本研究課題の進捗状況をおおむね順調に進展しているものと判断する。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題解明のための計画を推進していくにあたり，各種の関連学会や研究会での報告，学外の研究者・学校教育との学術的交流の機会をさらに積極的に増やし，本研究の成果を幅広く検証に開くように努めていく。また研究成果については研究報告，論文・著書の発表にとどまらず，researchmapや教員データベースシステムなど学内外のWebページを通じて幅広く社会に情報を発信していきたい。
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| Causes of Carryover |
次年度の研究報告にかかる物品費・国内旅費・海外渡航費等が当初の見込みよりも大きくなると予想されるため，当初購入を計画していた書籍等の物品費，渡航費等の支出を控え，次年度使用額が生じることとなった。研究課題の次年度の渡航計画にかかる費用の見なおしとそれに一部充当することを含めて年度を繰り越して使用することとした。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し使用額については，今年度の助成金とあわせて引きつづき研究課題関連図書・洋書等の物品費購入，および海外・国内旅費の一部として使用する計画である。
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