2017 Fiscal Year Research-status Report
中等教育学校におけるコンピテンシー志向の授業づくりに関する理論的・実証的研究
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16K04478
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 成章 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (70514313)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コンピテンシー / カリキュラム改革 / 中等教育学校 / 資質・能力 / 授業研究 / 校内研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究の成果は、次の三点に集約できる。 一つ目は、「コンピテンシー志向」のカリキュラム改革について、その先進的な取り組み事例であるドイツのカリキュラム改革の動向を検討したことである。ドイツでは、「PISAショック」を経て「コンピテンシー(Kompetenz)」概念が教育課程の基準に導入されてきているが、現在ではその批判的検討を通してその意義が実践レベルで検証されてきている。本年度は昨年度の調査成果にも基づいて、学校レベルでのコンピテンシー志向のカリキュラム実践・授業実践にも踏み込んで、その意義と課題について検討することができた。 二つ目は、「資質・能力」として導入されてきている「コンピテンシー志向」のカリキュラム改革と授業改革に関わって、中学校および高等学校のカリキュラム・授業改革に関わる実践的な取り組みに着手できたことである。「資質・能力」を学校独自に設定し、パフォーマンス課題とルーブリックの設定によって子どもたちの学びと育ちを継続的に評価しながら実践に取り組んでいる中学校では、子どもたち自身による自己評価を踏まえた「資質・能力」そのものの改訂へと実践を展開しうることが示された。論理的思考力の育成に取り組む高等学校では、各教科の独自性を「資質・能力」の評価項目に設定することで、教科授業の独自性を際立たせながらコンピテンシー志向のカリキュラム実践と授業改革に取り組むことの意義が示された。 三つ目は、上記二点の研究の成果を、学会発表及び学術論文をとおして公開することができた点と、中学校・高等学校との共同研究の成果を実践報告としての『研究紀要』にまとめることができた点にある。 次年度には、本年度までの研究成果を継続させながら、「コンピテンシー志向」のカリキュラム改革・授業改革の意義と課題を、より広い文脈において検討していくことが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「コンピテンシー志向」のカリキュラム改革と授業研究に関わる調査研究の成果に基づいて、その研究成果の公開と実践的検討にまで踏み込むことで、本研究は当初の予定通り進捗している。今後も当初の予定通り、コンピテンシー志向の取り組みに先進的に取り組んできているドイツへの調査研究と並行させながら、「資質・能力」ベースの教育課程改革と授業改革の実践的検討を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、次の三段階を並行的に進める。 1.ドイツでの取り組みの調査研究:ドイツのカリキュラム改革・授業改革に関わって継続的な調査を実施する 2.日本の学校でのカリキュラム実践での検討:日本・広島の中学校および高等学校において、これまでに構築してきたネットワークをさらに発展させながら、「コンピテンシー志向」のカリキュラム改革と授業づくりの意義と課題の実践的検討を継続的に実施する 3.研究成果の公開:国際学会・国内学会での発表および学術論文の執筆、および実践報告の集約をとおして、研究成果の公開を行う
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Causes of Carryover |
海外からの著書購入を含めて一部の物品の納入が年度をまたいだことと、ドイツでの研究調査を実施するため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、物品費を早期に支出するとともに、ドイツ調査の実施とその充実によって支出する予定である。
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Research Products
(8 results)