2018 Fiscal Year Research-status Report
日本の大学IRにおいて重要な役割を有する「教学データ」の分析手法モデルの構築
Project/Area Number |
16K04500
|
Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
清水 強志 創価大学, 通信教育部, 准教授 (20409775)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 教学IR / 全国調査 / 分析手法モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の高等教育においてIR(Institutional Research)に対する注目が集まって早や10年。近年では、教育の質保証および教学マネージメントの必要性が益々強調され、平成30年11月の中央教育審議会「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」では「教育の質保証や情報講評に取り組まない大学は、社会からの厳しい評価を受ける」とまで述べられ、自大学を客観的に調査研究するIRの役割が益々重視されている。 日本の大学IRの特徴の1つは教学データを重んじていることであり、多くの大学においてIR担当部署を設置する一方で、分析手法イメージの欠如という大きな問題を抱えている。そこで、本研究は、日本の大学IR活動を促進するため、(1)研究者の所属する大学を一事例にした「教学データの分析手法モデル」の構築・公開、(2)「成績に特化した学生アンケート」の開発、(3)全国の大学・短大における大学IRの実態把握(調査票調査)を行う。 28~30年度においては、所属大学において、IR室への諸データの集積が進んでおり、個々のデータの分析を行うとともに、統合するためのデータ整理を中心に作業を進めている。具体的には、成績をはじめとする教務データ(入学時のプレイスメントテスト等含む)、学生アンケート、PROG(就業力テスト)、学修観テスト(新入生に対して行った精神的回復力、学習動機、協同作業等に関する調査)などが挙げられる。 他方、様々に活発化しているIR活動の動向を把握するための全国の大学への調査票調査を令和元年6月に実施するための準備も着実に進んでいる。(実施までに著名研究者の意見を多数伺い拡充する予定ではあるが)調査票を完成させ(3月)、創価大学倫理委員会の審査を申請し合格している(3月)。また、学生アルバイトによって郵送先リストの整理も8割方完了している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、日本の大学IR活動が活発化し、多様化・複雑化しつつあり、他方、他の研究者が一昨年末にIRに関する全国調査を行ったことから、現在の実態把握のための全国調査に関しては、その知見等をふまえたほうがより実りのある調査ができると考え、また回答者が回答しやすい時期に配慮して、(計画よりも遅らせて)令和元年6月に全国調査を行う予定で準備を進めている。 一方、急遽、30年度に研究代表者の学内における所属移動があったことから、研究者が所属する大学を一事例とする教学データに関する統合・分析に関して、十分に行うことができなかったため、「補助事業期間延長申請」を行い、承認されたという状況にある。 それらの状況を鑑みて判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)日本の大学におけるIR活動の実態および課題を把握するために、文献調査に一層まい進しつつ、令和元年6月に全国調査を実施する。 調査票は既に完成し、所属大学の倫理委員会審査に合格もしているが、より実りある調査を行うため、さらに本研究領域において著名な2名の研究者によるアドバイスをもらいつつ、また大学評価コンソーシアム等の協力も得られるように尽力する。そして、調査結果についても所属大学の倫理委員会審査を受けた上で学会発表、論文発表を行っていく。 (2)教学データの統合・分析を進め、得られた知見(分析手法および成績に関わる項目)については、(所属大学の倫理委員会審査を受けた上で)ダミーデータをもとに学会発表・論文発表を行っていく。
|
Causes of Carryover |
計画では、全国調査を実施することになっており、そのための費用(郵送料、アルバイト代(の一部)、さらに著名研究者によるアドバイスを仰ぐための旅費など)が計上されていたが、質の高い調査を実施するために延期したことによる。 また、それに伴い、学会発表および成果報告書の作成も次年度に繰り下がったため。
|