2019 Fiscal Year Research-status Report
キャパシティ・ビルディングとしての教師の専門性の開発と学校改善の研究
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16K04569
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
黒田 友紀 日本大学, 理工学部, 准教授 (60631851)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 学校改善 / キャパシティ・ビルディング / 教師の専門性 / 授業づくり / 学校改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、これまでの調査における事例を検討し、学校改善の多様な実践と効果的な学校改善の支援について検討を行った。とりわけ、日本の大都市における学校改善の支援組織・スタッフへの調査を引き続き行い、事例の検討から学校改善のプロセスと支援の方法をまとめる活動を中心に行った。具体的には、以下の通りである。 1.実地調査と事例の分析:前年度までに実施した、カナダおよび米国の学校改善の事例の検討を行った。本来は本年度が研究の最終年度であったが、コロナウィルス感染症の拡大によって、米国での実地調査を中止せざるを得なかった。一方、日本における学校・授業改善の調査は、愛知県、静岡県、兵庫県にて実施し、校長等へのインタビュー調査を行った。とくに、大都市における学校・授業改善については、学校と教師の支援を行っている教育委員会のスタッフと、支援を受けた校長や教師とにインタビュー調査を行い、学校改善のプロセスやその方策の特徴について分析を行った。 2.研究の成果:日本の学校改善の事例については、国内の学会大会において、大都市における学校改善と授業づくりの支援に関して、具体的な学校改善のプロセスや支援の在り方について報告を行った。また、国際学会の年次大会において、大都市の学校の中に授業研究を通した学習共同体をつくる支援をいかに行うかについての報告を行った。また、アメリカ教育学会が開催した教育セミナーにて、米国マサチューセッツ州の事例に焦点をあて、キャパシティ・ビルディングとしての教師の専門的な能力の向上と学校改善の改革の展開について報告を行った。その他、学校改革を進めるうえで若手教師の傷つきやすさに着目した発表(World Education Research Association 2019)を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教師の専門的な能力の向上と学校改善について明らかにするために、日本における実地調査では資料の収集とインタビュー調査を遂行した。そして、日本の大都市における学校改善の事例の検討結果を、国内学会と国際学会において報告することができた。 一方、海外の事例とその分析については、カナダの事例分析は、州のウェブサイトへの資料の移行が遅れていた関係で、現在も分析に必要な資料を収集しながらまとめの作業を行っており、研究計画のうえではやや遅れている。また、米国の事例の調査と分析については、マサチューセッツ州における事例の検討結果をまとめ、学会の教育セミナーにおいて報告を行うことができた。しかし、カリフォルニア州において進められている、授業研究を中心として学校改善に取り組む学区および学校の事例研究については、学区・学校と、その支援を行っている機関への実地調査を行う予定であったが、コロナウィルス感染症の拡大によって、現地調査を中止せざるを得なくなった。その結果、事例の検討と分析を予定通り進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
米国カリフォルニア州での現地調査の実施と分析については、令和2年度内に学区・学校・支援機関・研究者と再調整を行い、調査を遂行できるよう再計画を行う。ただし、コロナウィルス感染症の終息状況によっては、海外での実地調査を遂行できないことが考えられる。その場合は、可能であれば、米国の学校や学校改善の支援スタッフとのビデオ会議等を依頼して調査を実施する。そして、令和元年度の経費は、日本の学校改善に関する追加的な学校調査の実施や、論文や資料を調達するために使用する。そして、学校改善の事例を分析し、日本・カナダ・米国の国際比較を行う予定である。そのまとめと分析結果は、学会機関誌や学内紀要などへ投稿を行う。
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Causes of Carryover |
当初、米国カリフォルニア州において学校改善に取り組んでいる学区・学校と、その支援を行っている機関への実地調査を行う予定であったが、コロナウィルス感染症の拡大によって、現地調査を中止せざるを得なくなった。現地調査の実施については、令和2年度に学校および研究機関と再調整を行い実施できるよう再計画を行う。また、海外調査を実施することができない状況の場合は、可能であれば現地のスタッフとのビデオ会議などに切り替えて調査を行う。令和元年度の経費の残金は、日本の学校改善の追加的な学校調査の実施や、論文や資料を調達するために使用する。
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Research Products
(4 results)