2016 Fiscal Year Research-status Report
沖縄の小中学生の学力向上に関する実証的研究~離島・へき地支援を中心に~
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16K04612
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
西本 裕輝 琉球大学, グローバル教育支援機構, 准教授 (20301393)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 学力 / 沖縄 / 小学生 / 離島 |
Outline of Annual Research Achievements |
沖縄は残念ながら、学力の低い地域として知られている。最近の全国学力・学習状況調査において、小学生の学力は全国最下位を脱し上昇傾向にあるが、中学生は依然として最下位のままである。このように学力問題は、依然として沖縄県の重要な教育課題の一つと言える。 ただ上昇傾向にある小学生の学力にも依然として課題は残る。沖縄本島と離島との学力格差が解消されていないのである。沖縄県は、石垣島、宮古島、久米島など、多くの離島を抱えている。高等学校のない島も多い。そして全国学力テストの得点で見ると、100点満点に換算した場合、沖縄本島と離島との間には、各科目で3点程度の開きがあり、明らかな差が存在していることがわかる。 当然、このような格差は解消されることが望ましいだろう。よって本研究では、小学生を対象とした調査を通して、本島と離島の格差の生ずる理由やその解決策について実証的なデータに基づき考察する。 本年度の調査は、沖縄本島の公立X小学校に通う6年生117名(男子64名、女子53名)、離島に位置する公立Y小学校に通う6年生80名(男子40名、女子40名)、計197名を対象に行った。調査期間は2016年10月、学力テストと質問紙法により行った。 調査データの分析の結果、離島の子どもたちの学力向上に重要な要素として①小学生のうちに将来の明確な目標を持つこと、②大卒者が身近にいること、③生活習慣を整えること等が明らかになった。もちろん以上のことは一般的にも、あるいは本島の子どもにとっても学力向上のために重要な要素であるには違いないが、離島という不利な状況にありながら高い学力を維持している子どもに共通して見られた特徴が以上の三つであった。 ここから、離島に即した学力向上策も見えてきた。例えば、キャリア教育の充実は、もちろんすべての子どもにとって重要なものであるが、特に離島では重視されるべき実践となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度から沖縄県内において各地で質問紙調査を実施することができており、ある程度の成果も得ることができた。紙幅の関係上、概要の部分ではふれることができなかったが、教員調査等も実施しており、多くのデータを得ている。 また、結果の公表についても『琉球大学教育学部紀要』第91号にすでに投稿済みであり、近日刊行される予定である。 以上のことからおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度に得られたデータをもとに、協力校を中心に、特に離島地域においてフィードバックを兼ねた講演会や研修会を行っていく。対象は教員や児童、保護者を予定している。また論文投稿や学会発表を通して、結果を広く公表していく。 それと並行して、継続調査を行い、さらにデータを積み重ねていく。
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Causes of Carryover |
発注していた質問紙が手違いにより納入されなかったため、残金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に同様の手続きを行う予定である。
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Research Products
(1 results)