2017 Fiscal Year Research-status Report
新たな主権者教育の構築―複数の専門家による協働体制により
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16K04648
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
前田 輪音 北海道教育大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (30326540)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 主権者教育 / 憲法教育 / アクティブラーニング / 出版社 / ジャーナリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、以下の調査(聞き取り・講演等による)を行った。 中高一貫校の憲法記念集会等の取り組み(京都 直接の聞き取り)、政治的問題に向き合う新聞記者(東京 講演)、砂川基地闘争の記録(東京 資料館)、新科目「公共」の検討(東京 学会報告)、憲法学者(東京 講演)、憲政記念館(東京 資料)、国会議事堂(衆議院から)(東京 見学)、某県の地方選挙の取り組み(直接の聞き取り)、印刷・出版社による取り組み(沖縄 直接の聞き取り)、新聞社の取り組み(沖縄 博物館)、小学校の取り組み(大阪 公開研究大会)、中高一貫校の取り組み(兵庫 公開研究大会)、地域の歩み(大阪 博物館)、弁護士の教育実践(札幌)、などである。また、「アクティブラーニング」の手法を体験調査した(東京)。いずれからも、主権者教育に関連する内容は方法について示唆を得るところが大きかった。 これらから得たもの等を用いて、報告者が従来行ってきた憲法教育の授業プログラムを土台に、アクティブラーニングを意識したものに改善し、大学院生や教師・学生を対象にワークショップ形式で実践した(札幌)。また、その一部を日本社会科教育学会にて報告した(千葉)。また、その要旨は活字化され(学会論文要旨集)、実践の一部は関連する憲法裁判の映画製作について述べた論文中でもふれた(2018年4月発行の雑誌)。 さらに、実践・実践における困難さ・必要な支援について、アンケート調査を少数名対象に試行実施した(札幌 研究集会において)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、(1)既存の実践や研究成果から主権者教育の目的・内容・方法を明らかにすること、(2)教師の実践環境の調査、(3)複数業種の専門家による交流の場づくり、により構成されている。初年度(2016年度)には(3)を実施、2年目(2017年度)には(2)を試行した。 (1)のための各所への聞き取り・資料調査を進め、既存の授業プログラムを土台に一部実践・検証の作業を進めた。 (2)については、現在検討中である。それは以下の理由による。某県の教育委員会での聞き取りから、「政治的中立」の問題から現状を把握しにくい状況をうかがい、また個人情報の観点からも、当初(2)を北海道全体の高校教師を対象に実施予定であったが、昨年度試行実施したものと過去の蓄積を整理すべきかと考えていることによる。 (3)は、2年目(2017年度)には実施できなかった。学会招致等の作業が二つ入ったことや、学内業務(認証評価等の年度にあたった)ため、時間不足によるものが多い。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度ゆえ、研究のまとめに入るために、それぞれの作業の仕上げを目指す。 (1)引き続き、特徴のある実践等の調査(北海道内を構想)と長野県や宮崎県などの教育委員会への聞き取り、専門家への聞き取り(岡山、鹿児島、徳島を予定)、文献調査、それらによる教育目的・内容・方法の概要構想をまとめる。 (2)前年度行った教師の実践環境調査の整理・検討および報告を行う。(1)の調査結果も含め学会報告・論文化を目指す。 (3)複数業種の専門家による交流の場を設定(年度末を予定)する。 (4)これらの作業の一部を報告書等にまとめる。ただし、(1)、(2)の作業の進み具合によっては割愛する。
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Causes of Carryover |
学会招致等の作業のため、当初の予定よりも調査等(アンケートを含む)が進まなかったため。今年度、執行予定。
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