2016 Fiscal Year Research-status Report
米国西部地区における多文化音楽教育の形成過程に関する研究
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16K04700
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
荒巻 治美 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (40315180)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多文化音楽教育 / 米国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,米国西部地区における多文化音楽教育の形成過程について明らかにすることを目的としている。西部地区の音楽教育が歴史的に改革・拡充される中で,どのような過程を経て多文化性を獲得し,多文化教育の原理を確立するに至ったのか,その形成過程を明らかにする。本研究課題は,次のような一連の研究で明らかになった成果を基盤としている。それらは,「生活主義音楽教育における創造性開発理論についての基礎的研究」「創造性開発を目指す生活主義音楽カリキュラム編成に関する研究」「創造性開発を目指す生活主義音楽科授業構成に関する研究」「米国ワシントン州における多文化音楽教育の原理に関する研究」である。特に,ワシントン州の多文化音楽教育に関する研究において,多文化音楽教育の在り方は,特定の地域の社会的・文化的環境に規定され展開されることが明らかになったが,更にはそれをこえて米国西部地区という地理的条件が大きく影響していた。そこで,多文化音楽教育の本質を探究するためには,研究対象となる地域を広げて研究を進める必要性が生まれた。以上のように,本研究は,過年度までの研究を基盤としているため,研究初年度は,主として過年度までの成果と資料収集状況の確認・検討を行い,その上で,研究期間における研究・調査計画を策定し,具体的な検討を始めるための基礎作業を行った。米国西部地区の社会的・文化的環境に関する情報収集を行い,過年度までの研究成果を本研究課題に関連する視点から見直すとともに,収集済みの資料を整理した。また,西部地区の音楽教育の実践を明らかにするために必要な音楽教科書や州や市の立案した教育課程に関する資料を収集し,検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究計画・方法については,以下の通りである。1)多文化音楽教育に関して先行研究において明らかになっていることを整理する。2)収集済みの資料を整理するとともに,国内外において入手できる米国多文化音楽教育に関する資料の探索・収集を行う。3)国内で入手困難な資料を収集するために,米国西部地区において研究調査を行う。4)米国西部地区の多文化音楽教育形成過程,及び我が国における多文化音楽教育への示唆について検討・分析・報告する。 本研究は,年度ごとに1)から3)を繰り返し,最終年度で4)にあるように研究成果をまとめることになる。本年度は,国内で入手可能な資料を探索・収集し,検討を進めた。歴史的な資料についてもデータ化や公開が進んでおり,海外の資料についてもその多くを収集できた。入手不可能な資料については,西部地区における各教育機関を中心にその所蔵状況を確認するとともに,入手のための検討を行った。現在それを踏まえて,米国への出張を計画中である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度は,研究全体のフレームワークを整備し,具体的な検討を進めるための基礎作業を行った。これを基盤として,本年度は,次のような計画で研究を推進する。1)当年度に収集すべき資料を確定する。前年度の研究により明らかになった研究課題を踏まえて研究計画を作成する。2)研究を進めていく上で新たに必要となる資料の収集のため,国内や米国に出張する。3)当該年度の成果の確認と今後の在り方を検討する。米国における資料収集が中心となるため,米国音楽教育研究者との交流の中で資料や情報の効率的な収集を行う予定である。
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Causes of Carryover |
初年度の研究活動において,国内で入手困難な資料の収集のための米国出張を予定していたが,現在,歴史的資料についてもデータ化による公開が進んでおり,国内でも米国西部地区の資料の多くを収集できた。国内で入手可能な資料が豊富であったため,米国出張前の資料の探索・収集・検討に時間をかけた。その結果,米国出張が研究二年度目に持ち越しとなったため,次年度に繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は,初年度の基礎作業を基盤として,主として米国における出張と資料の収集のために使用する。
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