2016 Fiscal Year Research-status Report
多教科の核となるバイモーダル・テクストの学習を支援する教師用ガイドブックの開発
Project/Area Number |
16K04709
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
奥泉 香 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (70409829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 功 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (30709671)
猪瀬 武則 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (40271788)
角屋 重樹 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 特任教授 (80136027)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヴィジュアル・リテラシー / バイモーダル・テクスト / 意味構築 / 国語科 / 教科書教材 / 絵本 |
Outline of Annual Research Achievements |
多教科の核となるバイモーダル・テクストの学習支援に活用できる枠組みを開発するため、今年度は主に以下の3種類の研究活動を行った。一つ目は、小学校国語科教材として採択されている絵本に焦点化して、その中で必要とされる文字で記されたテクストと絵との関係から意味を構築する枠組みを分析・整理した。この成果は、「小学校国語科教科書に採択された絵本において学習可能なバイモーダル・テクストの枠組み―低学年を中心としてー」(奥泉&水澤, 2017:日本機能言語学会)に投稿・採択されている。この中では、言語の文法と映像の文法との相互関連性や、小学校から導入可能な分析枠組みについて主に分析している。また二つ目は、絵や図、写真と文章で構成されている絵本や科学的テクストを、幼小を関連させて教材化し活用しているイタリア・レッジョ・エミリア市の小学校や幼児学校の実践、さらにはそれら市をあげた体系的な取り組みを実地調査し、その取り組みから採り入れられる要点を、主に教材開発やその系統性の整理に生かした。さらに三つ目は、本研究で対象とするバイモーダル・テクストを読む際の眼球の動きを、アイマークレコーダーという機器を用いて測定し、バイモーダル・テクスト読解時の眼球の動きと、その各時毎に学習者がどういった思考を行っていたのかを、再認インタビューという形で調査し、それらの相互関係を分析・整理した。この一連の研究成果は、2016年10月にカナダにおいて開催された国際ヴィジュアル・リテラシー学会において査読を通過し、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、本年度の成果は、「小学校国語科教科書に採択された絵本において学習可能なバイモーダル・テクストの枠組み―低学年を中心としてー」(奥泉&水澤, 2017:日本機能言語学会)として採択されている。また眼球の動きと関連させて、その各時毎に学習者がどういった思考を行っていたのかを調査して分析した研究についても、その成果を2016年10月にカナダにおいて開催された国際ヴィジュアル・リテラシー学会において採択されて発表している。これらの研究及びその成果は、本科研の研究課題において重要な基盤となる研究である。前者は、特に教材開発や発問研究の基盤と位置付けることができる。また後者は、異なる記号間を往還しながら意味構築を行う読解の重要な基盤となる。こういった次年度以降の研究の基盤を、本年度は前述のように進めることができたことから、本研究の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断し報告することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究では、対象とするバイモーダル・テクストの内、絵本についての分析に比重が置かれていた。これは計画に基づいたものであったが、次年度では絵本に加え、写真や図等を用いた科学的なテクストにも分析・検討時間をさらに充当したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度開催したいと考えていた国際シンポジウムが、先方の研究者の体調不良により、次年度開催となったため、その費用分を持ち越ししたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には計画していた国際シンポジウムを開催し、そのための旅費、英文校正費、資料印刷代等に使用する計画である。
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